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第四話 未来の京都、変わらない景色

列車は淡路駅を出発した。


俺は窓の外を眺めながら、さっき見た淡路駅の光景を思い返していた。


「……すごかったな。」


2026年の淡路駅とは、まるで別の駅だった。


高架化されたホーム。


巨大な駅ビル。


そして、新大阪へ向かう阪急の列車。


「阪急が新大阪まで来るだけでも驚きなのに……。」


俺は車内モニターを見る。


そこには現在位置が表示されていた。


淡路――桂――京都河原町方面


「……京都か。」


俺は少しワクワクしていた。


2054年の京都。


一体どんな街になっているのだろう。



列車は大阪の街を抜け、京都方面へ進んでいく。


車窓から見える景色も、少しずつ変わっていった。


高層ビルが減り、住宅街が増えていく。


ただ、2026年の景色と完全に同じというわけではない。


新しい建物。


見たことのない道路。


そして、時々見える未来の鉄道施設。


「28年でここまで変わるのか……。」


俺は窓に顔を近づけた。


すると、隣の席に座っていた男性が話しかけてきた。


「君、鉄道好きなの?」


「えっ?」


突然だったので驚いた。


男性は笑いながら、


「さっきからずっと外見てるから。」


「あ、はい。鉄道めっちゃ好きです。」


俺は少し迷った。


「……この電車って、新大阪から京都河原町まで直通なんですよね?」


「そうだよ。」


男性は当たり前のように答えた。


「便利になったよなあ。昔は新大阪から阪急に乗るなら、別の駅まで移動しないといけなかったんだから。」


「……昔?」


俺はその言葉に反応した。


「昔って、いつ頃ですか?」


「さあ。俺が子供の頃だから……30年くらい前かな。」


「……。」


30年前。


つまり2020年代。


俺の時代とほぼ同じだ。


「……なるほど。」


俺はそれ以上聞けなかった。


もしここで、


「実は僕、2026年から来たんです」


なんて言ったら、絶対に変な人だと思われる。


「タイムスリップしました」


なんて言えるわけがない。



しばらくして、車内にアナウンスが流れた。


「まもなく、京都河原町。京都河原町です。」


「来た!」


俺は思わず立ち上がりそうになった。


列車がゆっくり減速する。


窓の外に、巨大な駅が見えてきた。


「……京都河原町。」


ホームへ入る。


列車が停止する。


ドアが開く。


俺はホームへ降りた。


「…………。」


言葉が出なかった。


駅そのものは、確かに京都河原町だった。


しかし、2026年に俺が知っている駅とは違う。


案内表示が増えている。


ホームも改良されている。


そして、駅の外へ出ると――


「……京都、こんなに変わったのか。」


街の景色が違う。


新しい建物。


新しい道路。


観光客向けの施設。


それでも、京都らしい雰囲気は残っている。


「未来になっても京都は京都なんだな。」


俺は少し安心した。


新しい建物が増えている。


道路も整備されている。


けれど――大阪や東京のような、空を埋め尽くすほどの超高層ビルはほとんど見当たらない。


「……そうか。」


俺は気づいた。


京都には建物の高さや景観に関する厳しい制限がある。


2054年になっても、その考え方は残っているらしい。


だからこそ、新しい建物が増えていても、京都らしい景観は失われていない。


「未来になっても、京都は京都なんだな。」


俺は少し安心した。


古い街並みと新しい建物。


その両方が共存している。


「……こういう未来も、悪くないな。」


俺はそう呟いて、再び駅へ戻った。


俺は駅構内を歩き回った。


すると、改札の近くに大きな電光掲示板があった。


阪急京都線 発車案内


その下には、


大阪梅田


新大阪



嵐山


など、様々な行き先が並んでいる。


「嵐山行きもあるんだ。」


『わざわざ桂駅を通らなくても良くなったんだ。』


俺は何気なく眺めていた。


そして――


ある文字に目が止まった。


新大阪


「……。」


俺は少し笑った。


「帰れるんだ。」


来た道を戻ればいい。


そう思うと、少し安心した。



時計を見る。


「……もうこんな時間か。」


2054年に来てから、どれくらい経ったのか分からない。


スマホは相変わらず圏外。


家族から連絡が来ることもない。


そもそも、この時代に自分のスマホが存在しているのかすら怪しい。


「……帰りたいな。」


ふと、そんな言葉が口から出た。


未来の鉄道を見るのは楽しい。


でも――


俺が本当に帰りたい場所は、2026年の自分の家だった。


「……帰る方法、探さないとな。」


そう思いながら、発車案内を見る。


すると――


19:20 特急 新大阪


「…………え?」


俺は目を疑った。


特急 新大阪。


「阪急の特急で、新大阪?」


思わず笑ってしまった。


「せっかくだし、乗って帰るか。」



ホームへ向かう。


しばらく待っていると、特急列車が入ってきた。


「……かっこいい。」


行きに乗った車両とは少し違う。


特急専用の車両らしく、座席もかなり快適そうだ。


俺は車内へ入った。


そして座席に座る。


「…………。」


やっぱり、


ふかふかだ。


「阪急、未来でもこれは変わらないのかよ。」


思わず笑った。


列車が発車する。


「……静かだー。」


また同じ感想が出た。


自分でも少し笑ってしまう。


「俺、さっきから何回『静か』って言ってるんだ……。」


列車は京都河原町を出発した。


今度は帰り道だ。



車内モニターを見る。


京都河原町 → 桂 → 淡路 → 新大阪


「……なるほど。」


行きと同じルートだ。


しかし、帰りは特急。


駅を通過していくスピードが速い。


窓の外の景色がどんどん流れていく。


「これが2054年の阪急か……。」


俺は静かに車窓を眺めた。


すると、モニターに広告が表示された。


「2054年 関西鉄道博覧会」


「……鉄道博覧会?」


開催場所を見る。


そこには――


新大阪


と書かれていた。


「また新大阪か。」


俺は少し気になった。


2054年の新大阪には、リニアもある。


北陸新幹線もある。


なにわ筋線もある。


阪急もある。


そして、駅そのものが巨大化している。


「……新大阪って、2054年には関西の中心みたいになってるのか?」


そう考えた瞬間――


車内モニターが一瞬だけ切り替わった。


「新大阪駅 改良計画」


その文字が表示された。


「……改良計画?」


俺は画面を見つめた。


しかし、すぐに広告へ戻ってしまった。


「……何だったんだ?」


俺は首をかしげた。



列車は淡路駅を通過する。


窓から見る淡路駅は、やはり巨大だった。


そして、その先へ進む。


「……もうすぐ新大阪か。」


俺は少し安心していた。


未来の鉄道を見ることができた。


知らない路線にも乗った。


でも――


まだ分からないことが多すぎる。


なぜ自分は2054年に来たのか。


元の時代に帰る方法はあるのか。


そして、2054年の関西はどうしてここまで変わったのか。


「……全部調べてみるしかないな。」


列車が地下へ入る。


遠くに新大阪駅の明かりが見えてきた。


俺は窓の外を見つめた。


そして――


まだ知らなかった。


新大阪駅には、自分が想像していた以上の「未来」が待っていることを。


第四話、読んでいただきありがとうございます!


今回はついに、2054年の京都河原町までやってきました!


未来の阪急に乗って京都へ向かい、2054年の京都の街並みを見て、そして帰りは特急で新大阪へ。


今回も主人公は未来の鉄道を満喫していましたね(笑)


そして、京都の街並みについても少し描いてみました。


2054年になっても、京都には建物の高さや景観に関する制限があり、未来の建物と昔からの京都らしい景観が共存している――。


「未来になっても京都は京都」という感じを出してみました。


さらに、新大阪へ戻る途中で見つけた「新大阪駅 改良計画」。


これは一体何を意味しているのでしょうか……?


次回は、再び新大阪へ。


2054年の新大阪には、まだまだ主人公の知らない秘密がありそうです。


第五話もお楽しみに!

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