表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
7/31

第7話:西郷どんを「出資者」にしろ

西郷さんとの出会い

「坂本、薩摩の西郷吉之助が江戸に来ちゅう。…とんでもない豪傑やが、筋金入りの硬骨漢やき、油断せんことや」



勝海舟の言葉を聞きながら、俺は次の布石を打つ算段をしていた。



薩摩藩。この巨大な軍事力を抱える藩を動かさなければ、日本という国の再建は絵に描いた餅に終わる。



(西郷隆盛か……。史実では情に厚く、しかしそれ故に迷いやすい男。だが、今の俺にとって必要なのは、彼の人脈と軍事力や)


俺はすぐさま、西郷の宿泊先へ向かった。


俺が持っていくのは、薩摩藩が抱える最大の懸案――莫大な負債を解消するための「事業計画書」だ。


西郷の部屋へ通されると、そこには威圧感そのもののような大男が座っていた。


「ほう、勝先生のお弟子さんか。なんの用かな」



低く響く声。


だが、俺は微塵も怯まない。


むしろ、その懐の広さを逆手に取る。



「西郷さん。薩摩の抱えちょる借金、俺が肩代わりして整理しましょうか?」


沈黙が走る。


西郷の目が、獲物を狙う猛獣のように細められた。

 


「……おはん、何を言いよっか。武士に金の話ばするとは、無礼千万。命の惜しくなかごたる」


西郷の殺気が畳を伝ってくる。 


だが、俺は涼しい顔で持参した計算書を広げた。


「無礼なのは承知の上や。けんど西郷さん、今の薩摩は金に縛られて、肝心の『未来』が見えんようになっちょるんじゃないが? 俺がやりたいのは、あんたたちの力を借りて近代的な物流網を敷くことや。金は俺が海援隊という商社を使って、世界中から稼ぎ出す」


俺は利率や回収期間、将来的な薩摩の軍事的地位向上まで、淀みなく説明した。


「これからは、ただ兵を養うだけじゃなく、『富』を生み出す仕組みが必要なんや。あんたたちには剣があっても、金がない。俺には金を作る知恵がある。ここで組めば、十年以内に薩摩は日本で一番の藩になれる。……どうや、これでも俺の提案は無礼か?」


西郷はしばし俺の資料をじっと見つめ、やがてその太い眉を動かして、腹の底から豪快に笑い出した。


「ハハハ! おはん、面白いわ! 侍を商売の道具にしようっちゅうんか! 確かに薩摩の借金は、頭の痛か問題。そいばおはんが解決するっちゅうんか」



西郷は畳に手をつき、俺をまっすぐに見据えた。


「おはんの言葉には、迷いがなか。面白か。その腹づもり、とくと見せてもらうど!」



交渉成立の予感に、俺はニヤリと口角を上げた。



8話へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ