第5話:勝海舟との出会い
勝海舟は生瀬勝久さんか北大路欣也さんで想像して下さい
江戸の空は、土佐よりもずっと高く、そして広く感じられた。
俺の目的地はただ一つ。勝海舟の屋敷だ。
門番に追い返されそうになるが、俺は一切怯まない。
ここで引き下がるようでは、歴史の改変など夢のまた夢だ。
「坂本龍馬、参上した! 勝海舟に、この国の『未来の設計図』を売りに来た!」
門番が呆れ顔で追い払おうとしたその時、奥から一人の男が顔を出した。
鋭い眼光。
この時代の人間には珍しい、理知的なオーラを纏った男。
勝海舟だ。
「ほう、未来の設計図、か。面白いことを言うガキだ」
海舟はニヤリと笑い、俺を座敷へ通した。
お茶が出される。しかし、俺は茶など飲まない。
懐から、江戸へ来るまでに自作した「日本株式会社・経営戦略概論」の資料を叩きつけた。
「勝先生、あんたは『日本に海軍が必要だ』と考えている。だが、それを作るには金がいる。そして、幕府の硬直した官僚機構を動かすための、圧倒的な『実績』がいる」
海舟の眉が動く。興味を引いた証拠だ。
俺は畳に指で図を描き、現代の「株式会社」の仕組みと、「資本の集中」による軍艦購入計画を淀みなく説明した。
「刀を振り回すだけの時代は終わった。これからは商才と、それを裏打ちする海軍力を持つ者が覇権を握る。俺の商売の才能と、あんたの海軍の知識。組めば、十年以内に日本は列強諸国と対等に渡り合える」
沈黙が流れる。
海舟はしばらく資料を見つめていたが、やがて大笑いし始めた。
「ハハハ! お前、面白い! 俺の弟子になりに来たはずが、いつの間にか俺を自分のビジネスに勧誘しとるじゃないか!」
海舟は俺の肩を強く叩いた。
「いいだろう、龍馬。お前のその『理屈』、存分に見せてもらおうじゃないか」
俺は深く息を吐いた。
これで、俺のバックには最強の知恵者がついた。
生存フラグは着実に積み上げられている。
6話へ続く




