表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
4/11

第4話:脱藩は計画的に

脱藩――それは、藩の許可なく領外へ出るという、極めて重大な罪だ。


見つかれば捕縛、最悪の場合は切腹というリスクが伴う。


だが、俺にとって脱藩は「海外旅行の出立」程度の認識しかなかった。


「……よし、完璧だ」


俺は高知城下から数里離れた山中で、装備を確認した。


道中で追手と戦う気など毛頭ない。


そんなのはリスクが高すぎる。


俺が用意したのは、現代のキャンプ用具を模した軽量装備と、最低限の護身用火縄銃、そして『土佐藩の密偵を撒くための偽装工作キット』だ。


案の定、峠を越えようとしたところで、前方に影が二つ現れた。藩の目付(監視役)が放った刺客だろう。


「坂本龍馬、そこまでだ。大人しく戻り、処分を受けよ」


冷徹な男が刀の柄に手をかける。


史実の龍馬ならここで剣を抜くところだが、俺は違った。


「処分? 冗談はやめてくれ」


俺は落ち着き払った様子で、懐から一通の書状を放り投げた。


中身は、藩の重鎮たちにこれまでの商売で献金し、抱き込んでおいた「密命(という名目で捏造した公的な移動許可証)」の偽造品だ。


さらに足元には、事前に仕掛けておいた発煙筒の代わりに、硫黄を燃やした煙幕を点火する。


「お前たちが俺を追ったという事実は、この先にある大坂の商家に筒抜けになる。俺が捕まれば、お前たちの主も損をする。それでもやるか?」


煙が濛々と立ち込め、視界を奪う。


狼狽する刺客たちの隙を突き、俺は一気に峠を駆け抜けた。


(剣術の腕? そんなの、最後の手段に取っておけばいい。戦わずして勝つのが、一番の近道なんだよ)


背後で刺客が叫んでいるのが聞こえるが、もう遅い。土佐の結界は破った。


ここから先は、俺の時代だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ