じゅうはち。
殿下と私の挙式の日取りは私の十八の誕生日から三ヶ月後の光盛り月。その月の名の通り太陽が一番輝く季節故に少々暑い事でしょう。他国では真っ白なドレスと真っ白なタキシードを着るらしく、互いの色に染め合うとか真っ白であることで純粋で無垢なスタートを切るなどの意味があるとかですが、我が国では自分好みのドレスとタキシードを着ることになっています。大体は互いの髪色か目の色のドレスとタキシードですけれど。殿下の誕生日パーティーが一応表向きは滞りなく無事に終わった翌日。
私はお父様とお母様に殿下付きの新たな専属侍従について、報告をしながらドレスの話を切り出しました。
「ドレスは殿下の色を纏う気がありませんので私の髪色でお願いしますわ」
「そうね。そうしましょう。あなたに見合ったドレスのデザインと装飾品を公爵家の威信に掛けて準備しましょうね」
私の提案を速攻でお母様は頷き、お父様も頷いてくれましたが、それよりも、と仰います。お父様、結婚式に向けての準備を「それよりも」なんて失礼ですわよ。
ですが、おそらくお父様が言いたいことは理解しています。
「専属侍従の配置替えは申し出なくていいのか」
やはりそのことのようです。私は「構いません」と配置替えの希望が無いことを口にしました。
陛下が融通を利かせる、と仰って下さったのは本当ですが、一度きり、とも言われています。侍従には言いませんでしたけどね。
だからまぁ、そんなことで融通を利かせて欲しくないのです。他に何か優先順位が高そうなことがあったのに……なんてことがあったら嫌ですもの。
お父様とお母様にそのように伝えれば、それは確かに、とご納得をもらえたようで。とはいえ、お父様は陛下には抗議しておく、と仰って下さいましたし、それで良い事にします。
「さて、お母様。これからは私の結婚式に向けての準備をご一緒にお願いしますわ」
「もちろんよ。昨日の殿下の生誕祭で結婚式の日取りが公表された時、ああ到頭この日が来てしまったのね……と悔しくそして悲しく更には怒りでいっぱいになったけれど。私たちはあの殿下に色々と思うところがありますからね。それでも、あなたの結婚です。レバーム家の威信をかけて支度しますから安心なさいな」
……あ、お父様とお母様、未だに殿下へのお怒りがあったのね。まぁそれだけ私を大切に思って下さっているということでしょうし。私もそれだけ愛されていて嬉しいですわ。
「お父様もぜひよろしくお願いしますね」
「ああ。レバーム家の名にかけて、ポリーナの結婚の支度は最高のものにしよう」
この場に居ないパッドリーもきっと同じことを言ってくれたのでしょうね。本日は地方から殿下の生誕祭のために王都へ来ていた何人かの友人とゆっくりと会いたい、と我が家の庭で紳士のみのお茶会を開催していますので、庭から若い男性の声が聞こえています。侍女と護衛が五名ずつ居るので滅多なことは起こらないでしょう。楽しげな笑い声が微かに聞こえて来て、私も昨日の殿下付きの侍従との不快なやり取りでささくれ立った気持ちが和みます。
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