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ブサイクと言ってきた相手と婚姻しました。  作者: 夏月 海桜
ポリーナ十六歳〜十七歳
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じゅうなな。

「レバーム公爵令嬢様」


「なにか」


「殿下より公爵令嬢様とのご関係をお伺い致しました」


「……そう」


 包み隠さずなのかそれとも隠した部分はあるのか知らないけれど取り敢えず頷く。


「婚約した時に暴言を申し、それを謝れなかったことや公爵令嬢様が歩み寄っていたにも関わらず殿下がそのお気持ちに応えなかったことなど。その痛みや悲しみは分かります。分かりますが、その悲しみや痛みが分かる公爵令嬢様が、逆に寄り添わないのは如何なものかと思います。ここはその辛さを分かっているあなた様が大人になって……」


 言い募る侍従に私は不快な気持ちに陥りました。この侍従を推薦した者や侍従にしたことを許可した陛下や殿下ご自身が何をお考えなのか、私は分かりませんが少なくとも殿下を敬愛するあまり、私の心にズカズカと踏み込んで来て私の気持ちを蔑ろにするような者だということは理解しました。

 まだまだ言い募る従者に持っていた扇子を突き付けます。

 途端に従者は黙りました。

 それを確認してから扇子を従者から戻して口元を少し隠すようにして話出します。

 口元を周囲に見えないように隠すことで周囲は使用人に対する注意をしているのだろう、と判断します。そういうマナーだから、です。扇子を下ろして口元がハッキリと見えるように話すということは、使用人への叱責を表してしまいます。

 使用人を褒めるのであれば自分に仕えている者ならば後ほど。他家に仕えている者であればその家の主人を通して褒める。この辺の国々ではそれがマナーと言われています。

 叱責をしている、と思われることは私としても避けたいので注意を促すように扇子で隠しているわけです。もちろんこれは淑女のマナーであって紳士のマナーは違いますが、さておき。

 ひと呼吸置いてから私は冷静さを心掛けながら口を開きました。


「これ以上殿下のため、と言いながら私を貶める発言をするのであれば陛下にそなたの配置替えを申し出ますが宜しい? 陛下は殿下による長年の私への態度に申し訳ない、と思われておいでなの。それ故に多少の融通は利かせる、とのお言葉を戴いておりますわ。私の辛さや痛みに悲しみを、経験もしていないそなたが理解出来ると豪語するとは。そなた、何様のつもりなのかしら。私がその時どう思ったのか、それは私の感情でありそなたの感情ではなくてよ? 悲しかったか辛かったかそれとも何も思わなかったか。それも全て私だけが分かることでありそなたに分かることではない。分かってもらおうとも思わない。分からないのに分かっている、などと傲慢なことを言わないことね。殿下の婚約者としてこの生誕祭を台無しにする気はないの。そなたも専属侍従として成功させたい、と願うのならこれ以上は黙っていなさいな」


 微笑みを絶やさないまま注意した私に、侍従は悔しそうな顔を見せましたが、陛下に進言されては敵わないと思ったのか、それとも殿下の誕生日パーティーを台無しにしたくないと思ったのか、両方か。侍従は悔しそうな顔をしたまま引き下がりました。

 ……随分と殿下第一主義な従者が側についたものですわね。

 溜め息を飲み込んで私は引き続き殿下の婚約者として最後までパーティーに参加していました。

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