じゅうに。
あれから手紙は来なくなった。
殿下の独り善がりではなく私の意見を聞き入れてくれた、ということだと理解出来てホッとした。
その後の交流会や互いの誕生日も、何か言いたいのだろう殿下に、視察の話ならば伺います、と告げて視察の話が出来るようになっただけ、少しは進歩したのかもしれない。でも誕生日プレゼントは婚約した時からずっと変わらないし、私も四年目からは同じプレゼントを贈っているから、どっちもどっちなのかもしれないな、とは思った。
我が国は十八歳が成人年齢。貴族も平民も成人を迎えた年の誕生日は華やかに祝われるけれど、王族だけは違う。十九歳の誕生日に成人の祝いを行う。十八歳で成人ということは変わらないけれど、そこから一年をかけて成人祝いに向けて自分でパーティーの準備を行うのが王族の仕来たり。どんなパーティーにするのかコンセプトを決めて招待客も吟味したり食事内容も吟味したり。成人の祝いで着る盛装も自分で布地から吟味するし細かなデザインは出来なくても大まかなデザインも行う。一年をかけて自分の成人祝いのパーティー準備を行い成功させることで、我が国の王族がどんな成人なのか見極めるようなもの。
豪華絢爛なパーティーはこの国の王家は盤石だ、と周知出来るけれどそれも度が過ぎれば金遣いの荒い王族、と見られる。あまり金銭を掛けていないと質素倹約堅実な王族と見られる反面、王家は財政難ではないのかと侮られる。そういった意味でも第一王子殿下は今、忙しく大変な時期であるだろうと私は推察する。
あの毎日届いた手紙から一年。もう不要だと伝えた直後に迎えられた殿下の十八歳の誕生日から一年が経過し、明日は十九歳の誕生日を殿下は迎えられる。王城では殿下が一年の歳月をかけて準備されたであろうパーティーの日でもある。
私は当然ながら婚約者として参加する義務があった。婚約者として殿下にエスコートされてパーティーに参加しなくてはならないのは、正直気乗りはしないけれど仕方ない。
私はレバーム公爵の娘として、第一王子殿下の婚約者として、義務を背負っているのだから。
義務を果たさず権利を主張することは許されないし、使用人たちに傅かれ領民たちに敬意を払われているのもレバーム公爵の一員として、殿下の婚約者としての私に期待してもらっているのだから、そこから逃げるわけにもいかない。
私の果たすべき義務は、王命によるこの婚約を成立させること。
その一環として殿下の婚約者としてパーティーのパートナーを務める。それだけのこと。
……頭では理解していても、第一王子殿下の髪色を示すドレスと目の色を示す宝石が使われたネックレスが届いたのを見ると、気持ちは沈む一方になってしまう。けれど放棄することだけは出来ない。自分でもそんなことをしたら許せなくなる。
溜め息を敢えて大げさに吐き出すことで気持ちを切り替えることにして、明日体調不良を起こすわけにもいかないと早めに休むことにした。
お読みいただきまして、ありがとうございました。




