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ニ。

「セスター! あの態度はなんだ! 初めて会った令嬢に対してブサイクだとも言いおって!」


 一旦、自室に戻るように言われた後、夕食後に父上と母上から叱られた。


「なんて事を言うの! あなたより二歳も下の子なのよ! 初めて会った子にブサイクだなんて!」


「たしかに初めて会ったけど、どうせ向こうは私のことを見ていたんでしょう。で、私がかっこいいとか思ってあの父親に私と婚約するようにワガママを言ったんでしょ!」


 初めて城に来たとか、初めて私を見たとか言ってたと思ったが、絶対嘘だと思って決めつけるように言えば、父上が呆れた、と言ってから静かな口調で話す。


「そんなわけがないだろう。ポリーナ嬢は、本当に城に来たことは無い。一人で五歳の子を外には出さないのは当たり前だがな、あの子は賢い子なのだ。だから余計に公爵はあの子を外に出さなかった」


 父上が褒めることがムカついて言い返す。


「賢い? あんなに覚えられませんって言ってたやつなのに?」


「それは違う。あの子の話をお前は分かったか?」


 父上に静かに尋ねられて黙る。

 全く理解出来なかったから。


「そうだろうな。我でも本当に五歳の子か? と疑うようなことを話していた。……生まれた時から言葉を解し、三歳で言語辞書を読むような子だ。賢いだろう」


「でも、覚えられませんって」


「あれは試しだ。家以外では覚えられない、と言っていた。本当に家以外では覚えられないのか試している所だ」


 家以外じゃ覚えられないなんて、そんなことがあるのかと思うけれどそれを言うなら生まれて直ぐから言葉を理解している方が有り得ないとは思わないか、と父上が言う。それは、そうだけど。

 でも。


「私をどこかで見て、どうしても婚約したいってワガママを言うような相手は私は嫌です」


 父上と母上が溜め息をついた。


「お前を見たのは今日が初めてだし、ポリーナ嬢が婚約したいと話したのではない。こちらが頼んだ婚約だ」


「魔力持ちの子が増えるように、魔力持ち同士で婚姻する、と陛下が決定したのよ」


 父上が頼んだ婚約だ、と言い。母上が魔力持ち同士で婚姻することを父上が決めた、と言った。

 つまり、どういうこと?


「ポリーナ嬢がセスターとの婚約も結婚も嫌だと言っても、セスターがポリーナ嬢との婚約も結婚も嫌だと言っても、結婚することは陛下が決めたから無くなることはないのよ」


 母上が溜め息と共に言う。

 そんな。酷い。


「セスターがどれだけ嫌でも決めたことだ。国王としての命令だ。それと、ポリーナ嬢はセスターのことを好きではないし、かっこいいとも思っていないからな」


「えっ」


「初めて会った婚約者にブサイクと呼ばれて、なんで好きになるんだ。そしてポリーナ嬢は、セスターのことをカッコいいと言う人の意見を否定はしないが、ポリーナ嬢は自分の父親の方がかっこいいと思うから、セスターのことは全然かっこいいとは思わない、と言っていたぞ」


 わ、私よりも父親の方がかっこいい、だと?

 いやまぁ確かに公爵はかっこいいとは思うけれど。私よりもかっこいいと思うなんて、目が悪いのではないか。

 ……そういえば、私がブサイクだと言った時、あの娘も私の目が悪いのではないか、と疑っていたな。

 公爵夫人に似ていると思うと、まぁ確かにブサイクなんて思えない。だが。

 私の目が悪いとは失礼なんじゃないのか。

 そんなことを考えていた私の耳に、父上から嫌な提案をされた。

 つまり、婚約者との交流会に必ず参加するように、という気に入らない提案だった。

お読み頂きまして、ありがとうございました。


次話は八歳編に入ります。

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