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ブサイクと言ってきた相手と婚姻しました。  作者: 夏月 海桜
ポリーナ十六歳〜十七歳
75/131

さん。

 一通目の手紙は、レバーム嬢に謝りたい、という書き出しから始まっていた。そこには初対面での暴言に対する謝罪とか今まで謝れなかった理由とか、そんなものが書き連ねてあり、更には謝れないことを気にして顔を合わせても会話することも出来なかったことまで。

 それは今までの自分の愚かさを私に懺悔しているような内容で。枚数は数枚では当然収まり切らず、どうやら封筒に入らなかったために途中で便箋が終わり、二通目の手紙に続きが入っていることを知った。尚、二通目の出だしは懺悔の続きなのだけど、余白部分に何通も一度に送っても負担だろうから毎日一通送ることにする、と後から付け足しただろう言葉が書き添えられていた。

 そして二通目も何枚にも渡り自分の態度の悪さを私に謝り、やっぱり途中で便箋が終わり、三通目に至っていた。結局七通目でようやく懺悔の手紙は終わったのだけれど。なんて言えばいいのか。先ず思ったのが、今さらの謝罪か、だった。もちろん、無いよりはマシだと思う。結婚するより前だったこともマシだと言っていいかもしれない。

 ーーそれでも、今さら、としか思えなかった。


「私がブサイクだとは思ってない、か」


 それも初対面の時からそう思っていたらしい。でも何故かそのようなことを言ってしまった、と。


「何故か言ってしまった、ね……。言ってしまったことは取り返しがつかない。でも直ぐに謝ることは出来たはず。それをしなかった時点で思っていなかったとしても、思っているとしか思えないのに」


 はぁ、と溜め息が漏れる。この手紙の山と向き合うから、とエミルも下げていたので、今は一人。溜め息くらい吐き出しても許されるだろう。

 でもまぁ、やはり目は悪くないらしい。そして美的感覚もズレていない。あの時確認した通り。何をもって発言し、何をもって謝る気になれなかったのか。そのことは一切書かれていない。“何故か”言ってしまい“何故か”謝れなかった。


「その“何故か”が分からないのにただつらつらと謝られても、だからなに? としか思えない」


 謝るって自分の罪悪感を軽くするものと、今後を考えてケジメとするものという意味合いがあるのではないか、と私は思ってる。もしかしたら他の理由もあるかもしれないけれどこの手紙を見る限り、この謝罪って自分の罪悪感を軽くするだけのものにしか思えない。懺悔するのは勝手。謝罪って相手に寄り添ったものじゃないと意味ないよね。

 でもこの手紙から見えて来るのは、ただの殿下の懺悔だけ。

 私がどうして欲しいのか、私にどんな謝罪を求めるのか、全くそういった気持ちが見えて来ない。殿下の気持ちだけが書き連ねられている。これでどうして許せるのか。

 これがまだ婚約直後の、私が五歳で殿下が七歳だった頃なら殿下の気持ちばかりでもいいかもしれないけれど。もう殿下は十八歳をお迎えになられるし私も十六歳の年齢となる。相手の気持ちに寄り添った謝罪が出来なくてはならない年頃ではないかしらね。特に殿下は王族なので、一言や行動で相手にどのような影響を及ぼすか分からないからこそ、相手に寄り添う方がいいはずなのに。

 初めて寄越した謝罪の手紙がコレなんて、なんて言うか残念でならない。


「まぁ謝罪の手紙は分かった。じゃあ次の手紙は何から始まるのかしらね……」


 既に読む気持ちが失せてしまっているけれど、まだ七通しか読んでない。先程整理した時に何となく数えたら四十七通あった。……もう読むの止めようかな。そんなわけにはいかないか。

 気持ちを切り替えるために、お呼びでしたらベルを鳴らしてくださいね、とエミルに言われていたので、お茶とお菓子を持ってきてもらおうとベルを鳴らした。

 ……数分どころか直ぐに部屋のドアがノックされてちょっとだけ驚いたわ。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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