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ブサイクと言ってきた相手と婚姻しました。  作者: 夏月 海桜
ポリーナ十六歳〜十七歳
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に。

 体力は戻った。ご飯も美味しい。魔力も元通りどころかまた増えた感覚がする。家族や使用人や師匠と大師匠に心配されるほどには愛されていることも改めて理解した。ついでに親友のレイラも物凄く心配していて私が起き上がれるようになってから会ったら泣きながら文句を言われた。でも最後には抱きしめてくれたし、なんだったら私の耳元で例の魔力の無いけれど想いあっていたお相手と婚約が出来たことまで報告してくれて、私に感謝しているって言ってくれてこちらも嬉しくなった。

 だから。

 大切な人達に大切にされて愛されていることを知ったから、別に第一王子殿下から手紙をもらっても何の気持ちも湧いてこないのだけど。そして、お父様もお母様もパッドリーも読まなくていいんじゃないかな、とか言って、なんだったら暖炉の中に焼べて(くべて)しまえば良いとまでお父様は宣って、暖炉の燃料になりかけた手紙。

 さすがに一応王族から届いた手紙を燃料にするのは未開封だし拙いよね、と執事が止めてくれたらしい。……一応じゃなくてれっきとした王族だよ、あの王子。と突っ込む人は誰も居なかったとか。

 で。その燃料になりかけた手紙が一通二通どころか何十通もある。

 未開封だし数えてないけど山を築けるからにはそれなりの量なわけで。どうしたものか、と現実逃避しかけている。


「読みたくないけど、まぁこの婚約が開始されてから初めての手紙というわけだし。目を通さないわけにはいかない、よねぇ……」


 私から手紙は出したことがない。初対面の暴言を謝られていないのに仲良くなりたい、なんて嘘でも言えないし書けなかったので。精々交流日として定められた日の、お茶会のお誘い程度の手紙だけだ。それも最初のうちだけだったけれど。出席も欠席も何の連絡も寄越さないのに、招待状を出すのもバカバカしくなってしまったのだから仕方ない。

 きっと交流日として設定されて、王命には逆らえなかったから会うのは絶対だったのだから、返信しなくても参加するのは決まっている、とでも思われていたのかもしれない。だから最初の交流日から二回だけ我が家でお誘いした後は、お父様を通して王家にお願いしたのだ。ーー交流日は、王城で会う、ということにして欲しい、と。

 それを受け入れてもらい、サッと顔を合わせて無言のお茶会も一杯で終わった後は、私は王城の庭園を散策するなり直ぐに帰宅するなり王城から派遣されてくる家庭教師にご挨拶したり、と好きなように過ごさせてもらって一日を終えていた。

 もちろん、交流日が決まっていたことで、殿下から交流会のお誘いの手紙なんてもらったことは一度も無く、その日を迎えて王城へ登城すれば当たり前のようにお茶の席に案内され、あとは只管無言だった。もう初めの数回で好きな色だの花だのお菓子だの話すことは無くなったし、殿下のことは聞かせてもらえなかったから、無言と化したよね。

 こちらが話しかけても返事の無い相手にどうしろというのか、という話。私の話も相槌も打たずに済まされたから、話していることすら虚しかった。そんな日々を思い返すと、どうしても、この突然の山と化した手紙に疑念が浮かぶ。

 ーー今更なんなの? と。

 討伐が終わり、この王都にある公爵家に帰還して翌日から毎日届く手紙。最初の頃は体力も回復していないし、読む気力も無かったし、ローテーブルに置いといてもらうという処置を取ったのだけど、まさか毎日手紙が届くなんて思わないでしょう。シルバートレイに載せて私に差し出す執事の複雑そうな顔を毎日見るのも申し訳なく思う。

 というか、それも最近では今更何の用でしょう、と口にしながら眉間に皺を刻み込んで差し出してくるけれども。私が読んでないから毎日届くのかしらね、と思わず呟いたら、読まなくても問題ないような態度を取って来たのはあちらです、と執事が真顔で言う。

 暖炉の燃料にするのはさすがに拙いけど、読まないことは拙いとは思わないらしい執事に、私も何とも言えない気持ちで最近は手紙を受け取っている。


「まぁ、このまま未開封というわけにはいかないわよね。毎日届く手紙なんて、呪いでもかけているのかしら」


 そんなわけはない、と分かっていても、そんな軽口を叩きたくなる程の量。消えて欲しいな、とは思うけれど消えてくれない大量の手紙。

 意を決して上から順番に整理していき、一番下の手紙を発掘して読むことにした。届くたびに上へ重ねて置いていたので最初に届いた手紙は一番下で埋もれていたわけで。なんだかコレだけで疲れ果ててしまって、何も考えずに一通目の手紙を開封しました。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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