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マシルス中庭の花壇に水をやる、学長ヨハナの背中を、夕日が染める。
(この年だ。失うことに慣れたはずが……まさかまた、あの時の感情に苛まれるとは)
ある国への補充員として、先日卒業を言い渡したばかりの魔法使いを派遣して以来、まるで心に穴が空いたかのようだった。
(30年が経つか……傑物達の、まさに夢の行進……の、はずじゃったのに……)
色とりどりの花に、過去を偲ぶかのように重ねている。
(今頃は、各国で指導した者に託して、余生を過ごしておったかもしれないね……)
ルイーナによるヤタガルド王国での報告から、自身が関与した国宝の効力が健在であることに、微かな希望を棄てていない。
「今でも、守ってくれておるよ……コホッ」
語りかけるように呟く声色は、かつての勇者達が遺した想いを込めた魔法遺具の成り立ちを思い返し、哀愁を含んでいた——




