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パタン。
ドアを閉める乾いた音が、学長室に響く。
閉め切った厚いカーテンに光は遮られ、真昼といえども薄暗い。
教え子の出発を見送ったヨハナは、お気に入りの椅子に深く腰掛けた。
(これで良い。これで……良いんじゃ……)
旅の前途を祈るが、不安要素もあった。
(バスティ、無事に送り届けておくれ)
左手の爪に何気無く視線を落とし、ヤタガルド王国での出来事として昨日受けた、ルイーナからの報告を思い返している。
(魔法遺具との魔力干渉。手応えは及第点、といったところか……)
机に置かれた土産物のオレンジジュースを見つめながら、悪魔と呼んでいたモノに思いを巡らせる。
(人語を解する魔物、か)
キィ……
背もたれを深く倒し天井を見上げると、最後の純魔法使いは、ポツリと呟く。
「まだ許しちゃくれないんだね……フランツィ……」
魔力爆発ヴォルダーノ。
生き残りの老婆は、そっと目を閉じた——




