表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君逝く朝に  作者: 杉山薫
第二章 橋本龍之介編
PR
31/41

第一話

 修学旅行から一ヶ月近く経った十二月初めのこと。


突然、小林さんからライン連絡がきた。


『誕生日いつ?』


えっ、何?


『十二月五日だよ。どうしたの?』


ボクは小林さんに返信した。


『私の誕生日も一緒』


小林さんからの返信がきた。


そんなわけあるかーい!


『笑』


ボクはそう返信した。


 翌朝、小林さんが登校してきた。


「おはよう、どうしよう。誕生日、明日だよ」


「別に気を使わなくてもいいよ。ボクの誕生日なんて」


「だから、明日は私も誕生日なんだよ」


「私だけの誕生日だったらどうでもよかったんだけど、二人の誕生日ってなると話は別だよ! だって二人の記念日なんだから」


本当に誕生日一緒なの?


「ごめん。ネタだと思ってた」


ボクがそう言うと小林さんは苦笑いをしていた。


「あさっては土曜日だから別にお泊まりでもいいよ。ラブホにする?」


ただでさえ結婚してるとか噂になってるのに。


「らららラブ⋯⋯。高校生は行っちゃいけないんだよ」


ボクがそう言うと小林さんはさらに追い打ちを掛ける。


「じゃあ、うちでお泊まり会する?」


「えっ?」


なんでお泊まり会!


「私の部屋で一緒に寝るだけなんだけどね」


もう小林さん、勘弁して!


「てか、平日だから⋯⋯。そうだ! 新都心のイルミでも見に行こうか。やってるかな?」


小林さんはスマホを取り出し、検索し始める。


「あ、やってる。じゃあ、コクーンで夕食取ってからイルミ見ようよ」


小林さんの言葉にボクは黙って頷く。


「その後、レイトショー観ようか」


「多分、レイトショーの前の回でも観れると思うよ」


小林さんが残念そうな顔をする。


気を付けないとラブ⋯⋯になっちゃう。


 翌日の放課後、ボクと小林さんは学校を一緒に出て駅に向かった。


「そうだ。私はカバンを家においていくから、うちに寄っていくね」


ボクは黙って頷く。


お店に入るとオバサンがお店のテレビを観てた。夕食の時間帯にはまだ早いからお客さんはいなかった。


「あら、おふたりさん。仲いいねええ」


「カバン、置いておくから」


小林さんがそう言うとオバサンが親指を立てて、こう言った。


「橋本君と一緒だったら、今日は帰ってこなくていいよ!」


そこは注意するとこではないんですか!


 ボクたちは十七時すぎにさいたま新都心駅に到着した。イルミネーションが始まったばかりの時間だ。


「綺麗!」


小林さんはそう言ってボクの腕に抱きつく。


「う、うん」


ボクはそう言うのがやっとだった。


「なんか恋人たちの聖地みたいで素敵!」


小林さんがそう言った直後。


ぐうギュルギュル!


そうだよね。

昼食から食べてないからね。


「なんか軽く食べようか」


ボクは小林さんを食事に誘う。


「じゃ、フードコートで⋯⋯」


小林さんの言葉を聞き、ボクはフードコートに向かって歩き出す。


「ここってよく来るの?」


「ああ、映画を観る時はだいたいここで観るので⋯⋯」


小林さんはクレープを注文した。


ボクはボリュームのある肉丼の大盛を注文した。


「せっかくだからシェアする」


ボクはお店でお皿とお箸をもらってきて、お皿に肉丼を取り分けた。


その後、一緒に映画を観た。

恋愛の洋画。

小林さんはこういうのが好きなのかな。

でも寝ていたけど⋯⋯。


 映画も観終わったので駅へと向かう。小林さんはイルミネーションの中でボクの腕につかまり足を止め、何度も自撮りする。


「小林さん、早くしないと終電なくなっちゃうよ」


「え、終電。なにそれ?」


ボクはスマホを取り出し終電を検索し始める。


「まだ間に合うから急ごう」


ボクはそう言って小林さんを駅の方へと連れていこうとする。


「そんなにラブホが嫌なら橋本君の家に泊まる。じゃなきゃ、私は野宿する」


「野宿って、それはダメでしょ。ラブ⋯⋯も。ボクの家でいい」


ボクの言葉に小林さんは何度も頷く。


帰りの電車の中、ボクは誕生日プレゼントを小林さんにあげた。プレゼントはハートのネックレスで小林さんはすごく喜んでくれた。昨日の帰りに急いで買ってよかった。


最寄りの駅に着くとボクの父さんが車で迎えにきてくれていた。


「はじめまして、小林さくらです。龍之介君とはお付き合いをさせていただいています」


小林さんがそう言うと父さんは苦笑いをする。


「初めてではないんだがね。龍之介をよろしく頼む」


家に着くとお母さんも出迎えてくれた。


「はじめまして、小林さくらです。龍之介君とお付き合いさせていただいています」


小林さんがそう言うと母さんも苦笑いをした。


「初めてじゃないけどね。大きくなったね。さくらちゃん」


 小林さんはボクの部屋で寝て、ボクはリビングで寝ることになった。父さんは明日も仕事なので帰ってくるなり寝てしまった。母さんはボクの布団を敷くためリビングにやってきた。


「母さん、小林さんを知ってるってどういうこと?」


ボクは疑問をストレートに母さんにぶつけた。


「私の実家があんたの高校の近くだって知っているわよね。母さんはさくらちゃんのお母さんの野村幸子と幼馴染の同級生なのよ。実家が近所ってこともあって産院も一緒だったのよ。偶然が重なって出産日も一緒でね。面白い縁だけではないんだけどね」


母さんはそう言って俯く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ