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第96話 死地からの帰還

 よ、ようやく魔境を逃れて安息の地に帰ってきた……。


 バイクを止めて荷物を下ろしていると、田中のおっさんが近づいてきた。


「よう! 兄ちゃんたち早かったな! もっといい雰囲気になって帰りは夜になるかと思ってたのによ」


 やかましい! セクハラじみたこと言ってんじゃねーよ!

 こっちはそれどころじゃなかったってんだ!


「暗くなるとお兄さんが怖がるし、いくつかサンプルを持って帰って来たよ」


 こら! いらん情報までばらすんじゃありません!


「なんだ、兄ちゃん暗いところが怖いのか。なら尚更この街から離れられねーな」


 確かにこんな世の中で電気が煌々と灯っている場所なんて、他を探しても見つかりそうにない。

 そのことは否定しないが、それを聞いた学がすごく嬉しそうな顔をしてるんだが。


「まぁそれだけ仲がいいんだから言うだけ野暮ってもんか。それよりどんなお宝を見つけてきたんだ?」


 ヤメロエロオヤジ。

 学に下品な顔を見せるんじゃねー。


「うーんとね、お兄さんが選んでくれたからわたしもまだ全部確認できてないんだけど……」


 そう言いながら端末を取り出す学。

 だから人に見せるもんじゃねーっての。


「学。それも人に見せるのは恥ずかしいことのうちだぞ」


「そうなんだ! ごめんね、おじさん。お兄さんは二人きりで勉強するほうがいいみたい」


 そうじゃねー!


「兄ちゃん……」


 なんだ?


「むっつりだな!」


 やかましいわ!

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