第89話 まだ研究?
「だーかーらー!」
もう、どう説明したらいいんだ!
せっかく体を張ったのに、それでも伝わらないんじゃこれ以上どうしたらいいのか分からんぞ!
八方ふさがりになって頭を抱えていると、学の笑い声が聞こえてきた。
「ふふふ。そんなに慌てなくてもちゃんと分かってるよ。冗談だってば」
くそ、この俺がからかわれていたってのか……。
でもまぁ、こんなに可愛い笑顔を見せられたら怒りも沸いてこない。
「やれやれ。本当に分かってくれたのかね……」
仕方ないなと思って苦笑すると学は楽しそうに笑い、俺の腕に絡みついてきた。
「人間の感情が簡単に計算できるようなものじゃないことくらい、私にも分かってるよ」
そう言って俺の腕に頭を預ける学の表情は安心感に満ちていて、とても幸せそうだ。そんな表情を見せられたら、こっちとしても愛おしいという想いを押さえるのが大変だ。
強く抱きしめて、そのまま無茶苦茶にしてしまいたい自分の本能に抗いながら、優しく小さな頭を撫でると、満開の笑顔になった学にもう一度キスされた。この場面でそれはズルい……。
必死に本能を抑えてるのに、余計に刺激するようなことするんじゃねーよ!
「人間の感情って不思議だね。自分の事でも分からないことばかり。これはいつ閾値を超えるか、自分自身を使って研究するチャンスだよ!」
どこまで言っても研究かよ!
でもまぁこれが学らしいっちゃらしいか。
「それじゃ、研究素材としてここのデータをたくさん持って帰らないと」
それだけはやめて!




