第7話 ここにいる理由は?
「ここで暮らすのに何不自由ない環境を作りたいのか?」
俯いたままのワナビにそう問いかけると、顔を上げて首を横に振る。その瞳に移るのは悲しみとも希望ともつかないものだ。
「私ね、この街でおじいちゃんと二人で暮らしていたんだ。私が産まれた時にはこの世界はすでにおかしくなり始めてたんだけど、それでも両親は出産を選び育ててくれた。その両親も五年前、食料を探しに行ったきり……」
人間を殺すウィルスが流行り始めたのは十五年前。ちょうどこいつが産まれたあたりか。
その後十年が経つ頃にはほとんどの人類は死に絶えていた。
五年前ということは世の中も腐りきった後だ。
なるほど、野盗か猛獣にでも襲われたのかもな。
人間がほとんどいなくなって、かつての野生生物は奪われていた生活圏を取り戻している。
それに加えて生き残った人間たち。今の世の中、人間自体を見つけるのは難しいが、だからこそ見つけた時にはいい獲物になる。
生きている以上は何かしらの食料を持っているということだから、無法地帯と化した現状では奪う方が効率的だ。
「で、そのおじいちゃんはどこにいるんだ?」
「去年、死んじゃった。病気でね」
病院はおろか薬すらも手に入らない今の世で、病気になるというのは相当にリスクのあることだ。
衛生状況も最悪な中ではただの風邪でも命を落とすことになりかねない。
「このロボットたちもね、最初はおじいちゃんが作ったんだ」




