第68話 変な噂を広めんな!
案の定田中のおっさんの笑顔はさらに冷やかしたものへと変わる。
「こりゃめでてーな! 今日はいろんな意味でパーティーだな! 肉も仕入れてきたぜ!」
そう言って田中のおっさんは腰にぶら下げたS&W M29を見せつける。いわゆる44マグナムだ。こんなものどこで手に入れたのやら。
「おーいみんな! 今日は新天地発見と、この兄ちゃんと嬢ちゃんがくっついた記念パーティーだ! 幼い少女がいる家庭は娘をかくしておけよ! ロリコンの毒牙にかかっちまうぞ!」
おいヤメロ。誰がロリコンだ。
幼女なら誰でもいいわけじゃねーんだよ。
「お兄さんそうなの!? 別にわたしじゃなくても若ければ誰でも良かったってこと!?」
ほら、めんどくさいのが食いついたじゃねーか。
「お、お、いきなり破局の危機か?」
やかましーわ。
いったい誰が火をつけたと思ってやがるんだ。
みんなが見てる中、こんな事を言うのは死にたくなるほど恥ずかしいが、謂れのない疑いをかけられたままの方が絶対に嫌だ。
俺は小さくため息をつくと、ワナビの頭に手を乗せてハッキリと告げる。
「若いから好きになったわけじゃねーよ。お前を好きになったら、たまたま俺より四つ年下だっただけの話だ。年齢は関係ない。俺が好きなのはワナビという一人の人間なんだよ」
ヒューヒューという声と共に大騒ぎの連中を横に、真っ赤な顔を抑えて嬉しそうにくねくねするワナビ。
喜んでくれたのは良かったが、俺はもう殺してほしいんだが。




