第61話 その想いは?
二人で鉄塔の踊り場に座り、しばらく景色を眺めていた。
どちらからというわけでもなく、いつの間にか手をつないでいる。
ワナビは俺の右手を、大切な物のように両手で抱え、しっかりと握りしめながら時折感触を楽しむようにニギニギしている。
「何やってるんだ?」
景色よりも俺の手をずっと見ているのが気になって、つい質問してしまった。
俺という人間はどうしてこうも野暮なのか。
でもなんだか照れくさくて、為すがままにされているのが耐えられなかったんだから仕方ない。うん。
「お兄さんの手、大きくて頼もしいなって。こうやって触ってるだけですごく安心するんだ」
言いたいことはわかるが、それだと恋人というよりも子供に懐かれているような気分になってしまう。
そう感じてしまったから、つい空いている方の手でワナビの頭を撫でつけてしまった。
子供扱いしていると怒られるかなとも思ったが、特に何も言うことなく黙って撫でられている。
というか物凄く幸せそうだ。
やっぱりコイツの根底に流れているのは、ずっと一人でいたことによる寂しさなのかもしれないな。
だったら俺は、その傷がしっかり癒えるまでただそばにいてやるだけだ。
その頃にはコイツも、この気持ちが本当に恋心なのか、甘えたいだけなのか、しっかり認識できるだろう。
俺は決してその辺を決して勘違いすることなく、ワナビの保護者としてしっかり守ってやらないといけないな。




