第55話 恋というものは?
「わたし、お兄さんの恋人だよね?」
潤んだ瞳でにじり寄るワナビ。
その表情はそれまでの女の子といった様子ではなく、女性としての何かがあふれていて。
これが色気というやつか?
お、俺は十五歳の少女に色気を感じているというのか?
高鳴る心臓を止めることも出来ず、冷静な思考力が奪われていく。
「こ、恋人って。それはお前が勝手に言い出したことで……」
「でもお兄さんも私の事好きだって。あれは嘘だったの?」
いや、確かに嫌いではないし、好ましくは思っている。だけどそれがすぐさま恋愛感情につながるものなのかは俺自身にもわからんのだが。
「好きと言ってもいろいろ種類があってだな。あにょ好きは妹としてというか可愛らしいからとかそういった……」
「そんな難しいこと私にもわかんないよ。ただお兄さんと一緒にいると楽しくて、幸せで。近くにいるとドキドキして。でももっとそばにいたくなる。離れていてもいっつもお兄さんの事を思い出して、考えるだけで心が温かくなって、すぐにでも声が聞きたくなるんだよ。これが恋ってやつでしょう?」
経験がなくてもそれは分かる。きっとそれが恋というやつなんだろう。
対する俺はどうだった?
ワナビといると楽しくて、こいつのために何かをしてやりたくなって人を集めるためにもう一度旅をした。その間もずっとワナビの喜ぶ姿を想像して嬉しくなって、早くその笑顔が見たくて急いで帰ってきたんだ。
こ、これって……。




