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第49話 他にいなかったのか?
「なんで俺なんだ?」
「どういうこと?」
「今まで俺以外の人間に会ったことがないってわけじゃあるまい。このご時世、俺みたいにあちこちを渡り歩いてるような奴は珍しくもないだろう。なのにどうして俺を選んだんだ?」
一カ所に留まっていても食料を確保するのが難しい現状、資源を求めて旅をしてる奴はいくらでもいる。
廃墟ばかりが立ち並ぶ中、ワナビたちが作り上げた整った町並みは特に人目を引くだろう。
ここにそれだけの技術があると知れば、それを自分のものにしようとした人間もいるはずだ。
「お兄さんだけだったんだよ」
少し俯きながら嬉しそうに語るワナビ。その頬は少し赤らんでいて、さっきお祖父さんの事を語っていた時のような、慈しみにも似た表情を浮かべている。
「食料も薬も要求せずに、わたしが作ったロボットたちに真面目に答えてたでしょ。今までそんな人いなかった。みんな自分が生き残ることに必死で、食べられもしないロボットに興味を持つ人なんていなかったし、大体の人はここに食料があると知るなり自分のものにしようとしたんだ」
野盗のように最初から暴力的ではなくても、こんな年端も行かない女の子が一人で住んでいるとなれば強引な手段に出ようとした奴もいたということか。
きっと一人で心細い思いをしていたんだろう。




