第40話 おひとり様ですか?
「お兄さん、遅いなぁ」
あれから一か月。今日もお兄さんは帰ってこない。
たくさんの人を連れてくると言ってもう一度旅に出てくれたんだけど。
「寂しいなぁ」
お兄さんとはそんなに長く一緒にいたわけじゃない。
なのにどうしてこんなに寂しいんだろう。
確かにわたしはたくさんの人が安心して暮らせるようにと思っていろんな発明をしてきたけれど。
「こんなに寂しい想いをするなら別に二人きりで暮らしてもよかったのにな……」
なんだろう。このもやもやした気持ち。
今まで感じたことのない息苦しさを感じる。風邪でも引いたのかなと思って今朝熱を測ってみたら36.2度。
めっちゃ平熱。
お兄さんがいなくて退屈だし、言われた通りロボットをひたすら増やした。
そうやって手を動かしている方が何も考えなくて済むし、気晴らしにもなったから。
「なんだかお兄さんの事ばっかり考えちゃうな」
【イラッシャイマセ】【セイリケンヲオトリクダサイ】【イラッシャマセ】【タダイマノマチニンズウハ0ニンデス】
今日もロボットたちはお互いを客と勘違いして、不毛なやり取りをやっている。
ちゃんとやることはやってくれているから別にいいんだけど、やっぱりアイツをモデルに作るんじゃなかったかな。
【イラッシャイマセ】【イラッシャイマセ】
そろそろうるさく感じてきたな。あの機能、一人でいるときは賑やかでいいやと思って放っておいたけど、なんだか最近は煩わしい。
そもそも客がいないのに、待ち人数なんて発生するわけがないだろうに。
【タダイマノマチニンズウハ1ニンデス】
「!!!」
あの日と同じ。
わたしは待ちきれずにバルコニーへと飛び出した。




