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第26話 信じるか信じないかは?
「兵舎のすぐ隣にうっそうと生い茂った森林があったんだ。そこから聞こえてくるんだよ。『総員、突撃―!』って言う声とそれに応じる掛け声がな」
俺は生唾を飲んだ。本当に恐ろしいのはこれからだ。
きっとこの先を聞けばこいつもくらい廃墟に入ろうなんて言う気持ちは失せるだろう。
「幽霊なんて信じちゃいなかった俺は誰かの悪戯かと思って、その森に入っていったんだ。そこで見ちまったんだよ」
「何を?」
まだ余裕ぶってはいるが、内心ではビビりまくってるに違いない。
そろそろその表情を本気で怯えた顔に変えてやる。
「薄く透き通った、ずいぶん昔の大勢の兵隊たちが森の奥に向かって突撃していく姿をな!」
決まった。こいつもきっとビビッて……。
「……」
ないな。
きょとんとした顔をしてやがる。
「別に何か悪さをしてくるわけじゃ無し、怖くないじゃん。それより気になったのはさ」
「なんだ」
こいつのことだからホログラムとか言い出すのかと思うが、絶対そんなことはない。あの兵舎にはそんなものを投影できるだけの装置がなかったからな。
いったい何が気になるというのだろう。
「お兄さんが夜中に起きたのって、トイレに行きたかったからなんだよね? 結局トイレはどうしたの?」
「……軍事機密だ」




