第20話 そんなにすごいか?
「これ、お祖父ちゃんがずっと大事にしていたの」
そう言ってワナビが出してきたのはKawasakiのGPZ900R。
とんでもない骨董品だが、しっかり手入れされていてぱっと見ではどこが故障しているのか分からない。
スターターは機能しているが、エンジンはうんともすんとも言わない。
これはひょっとしたら点火プラグがいかれてるんじゃないだろうか。
試しに分解してみたら、案の定白磁部分がひび割れている。
これでは火花が飛ばないからエンジンに点火することも出来やしない。
これはもう交換するしかないんだが……。
「この辺にバイクが捨ててあるようなところはあるか?」
「ところどころに捨ててあるけど、五キロくらい行ったところにスクラップ場があるから、そこに行った方がいろいろ手に入ると思う」
ダメになっているのは点火プラグだけっぽいが、他にもブレーキパッドやチェーン、エアクリーナーなんかも予備で持っておきたいところだ。
オイルやバッテリーなんかはその辺の廃店舗に行けば置いてあるだろうか。
バイクが直ったらその辺も見に行こう。
「お兄さん、直せるの?」
「軍隊ってのは基本的に自己完結する組織だからな。出来ることは何でも自分でやらされるんだよ」
「すごーい!」
「……これくらいどってことない」
「そんなことないよ! お兄さんが来てくれて本当によかった! ありがとうね」
嫌悪感を持たず、素直な反応を返してくれるワナビに、俺の中の警戒心が少しずつ解きほぐされていくようだった。




