第169話 なんで使えないの?
「んじゃ、動かすか」
「え、お兄さん、船の操縦できるの?」
「こんなにでかいのは初めてだけどな。強襲揚陸艦くらいなら」
「ほえー」
素直に感心してくれている。こういうところ、救われるんだよな。
「どのあたりを掃除するんだ?」
「この船で掃除できるのは水面だけだからね。まずはダムの壁面近くに漂ってるごみを回収しよう」
船を回頭し、ダムの端に向けて走らせる。そんなに速度は出ないが、顔に当たる風が気持ちいい。
ワナビは隣でご機嫌だ。
こういうデートの仕方も、意外と悪くないもんだな。
「具体的にはどうやってごみを集めるんだ?」
「後ろにベルトコンベアがついてるから、そこにかき集める感じだよ。大きいごみは手で引き上げないとダメだけど」
まぁダムに集まってるごみなんて、人間が出したものがほとんどだろう。
もうこんな時代になったから、意外ときれいなままかもな。
と思ってた時期が俺にもありました。
「あちゃー。流木がいっぱいだねぇ」
土砂崩れでも起きたのか、大量の流木が流れ着いている。これは一回では乗り切らないし、かなりの力仕事だ。
流木一本でも相当でかいから、ワナビに手伝わせるわけにもいかないし。こういう時こそデッパー君……。
「デッパー君が防水だったらよかったねぇ」
そうだった。あいつらハイスペックポンコツだった。




