第146話 それ、反則じゃね?
ヒルヒルヒルヒルという音を立ててトラックを現場に乗り入れると、田中のおっさんが恵ちゃんと一緒にお茶を飲んでやがった。
「おー兄ちゃん! 昨日はお楽しみだったみてーだな」
やかましーわ。
娘の前で下品なこと言ってんじゃねーよ。
「アホか。10トンの砂を土嚢に詰めて積み上げるのがどんだけ大変だったと思ってんだ」
そう思ってふと見ると、すでにプールはほられ、有孔ブロック、砂利、粗砂までひかれてやがる。
さすが、仕事が早いな。
運搬はデッパー君がやっただろうが、これだけきれいに敷き詰めるのも大変だったろうに。
「おっさんもがんばったみてーだな。ちょっとは見直したぞ」
「んあ? ほとんどこのロボットがやってくれたが? 俺っちはこの辺の粗砂がいいなって指示したくれーだ」
ガッデム!
ハズレくじ引いたの俺だけかよ!
「ずりーぞ! おやじ!」
「お、おぉ? なんで涙目になってるんだ?」
うるせー! こっとは土嚢作成に秒速を求められるわ、休む間もなくハンティングさせられるわ、やっとの思いで狩ってきた肉はほとんど食われるわ、夜中に爆散させられそうになるわで大変だったんだよ!
「なんだなんだ? まぁいろいろあったことだけは察するが、そういやなことだけでもなかったんだろ? ワナビちゃんの寝顔は可愛かったか?」
「うん、天使だった」
チョロ過ぎか、俺。




