第121話 それはそれだよね?
「……」
ワナビさんの無言の圧が逆に怖い。
「いや、それはほらあれだ。ワナビのお父さんだって昔は抱っこしてくれたりしただろ?」
そう、俺は保護者的な観点から可愛がっていただけだ。そこに色恋感情が介在するはずがない。
「うん、お父さんに抱っこしてもらうの好きだった」
ほら、ワナビだってそうだろ。
小さい子を見れば誰だって可愛いと思うはずだ。
「でもお兄さん、お友達の男の子は抱っこしてなかったよね?」
補足説明ありがとうございます!
「ほほう……」
またしても表情が険しくなるワナビさん。今日は本当に表情豊かだよねぇ……。
「正直なこと言うぞ? 確かに男の子はいた。でもあのガキ、生意気で全然可愛くなかったんだよ」
これは本当だ。俺を見かけたら蹴りを入れてくるわ、口は悪いわで可愛さの欠片もなかったんだよな。
いつか大きくなった時に根性叩き直してやるって思ったもんな。
「でも男女差別は良くないよ」
そうは言ってもまだ機嫌の直らないワナビさん。
そこは男女関係ないとこだと思うんだけどなぁ。
「お兄さんのあの熱いハグは今でもはっきり覚えてるよぉ! そっか、あの時にメグはすでに恋に落ちてたんだね!」
恋に落ちるとかいう表現、どこで覚えたの? ってこれもおっさんか。
「お兄さん」
ワナビの低い声に背筋が伸びる俺。なんか情けなくなってきた……。




