第119話 はい?
「いや恵ちゃん、やっぱり基礎は大切だよ」
お、おぉ? ワナビが突然まともなことを。
いや、別にいつもおかしなことを言ってるわけじゃないんだが、恋愛絡みのことになると途端にポンコツになるからな。
突然常識寄りのことを言われると逆に戸惑う。
「どうして? さっきはお姉さんが絵本を見せてくれるって言ったのに」
絵本て。
確かに写真という絵は掲載されてるが、とても絵本なんて呼べる代物じゃねーぞ。
どんな説明したんだ、ワナビ。
「あれはね。私みたいな上級者向きなんだよ。初恋一日目の恵ちゃんにはまだ早いかな」
「えー。じゃあ何日目くらいから上級になるの?」
「一か月くらいは必要かな」
早いわ!
なんだ一か月って。直前になって詰め込み勉強する受験生か。
通信教育だってもう少し時間かけるぞ。
「いやいや、ワナビ。そこはせめてお前と同じ年齢になるくらいまではダメだろ」
二人を放置するとどんどんカオスになっていくので、そろそろ軌道修正。
「そうなの? それはどうして? 私はお兄さんに会ってから好きになるまでそんなにかかってないよ?」
そういうことをまたしれっと。
表情筋が緩むからやめてくれ。
「期間は特に問題じゃないくてだな。それよりも年齢だ。恵ちゃんはまだ背も小さいし、わずか七歳だぞ」
「ふむ。体が小さいといろいろ無理がありそうだね」
何が無理なのかは聞かないでおく。
「つまり私みたいに大人の色気が出て来るまでってことだね!」
……。




