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第112話 街に出ない?

「それじゃ、時間も遅くなってきたし、そろそろ寝よっか!」


 いっぱい甘えて満足したのか、ワナビが立ち上がってそう言った。

 さっきまでの温もりが急速に冷えていくのが、少し寂しいような。


「……一緒に寝る?」


「な! バ……!」


 心を読まれたのかと思って焦った。思わず声にならない声が漏れてしまう。


「ふふ、冗談だよ。何慌ててるのさ。ホント、お兄さんって恥ずかしがり屋さんだよね」


「う、うるせーよ。いいからもう寝るぞ」


 なんだかここ数日でワナビが急速に手強くなったような気がする。女の子はおませだって言うけど、ようやく健全に成長しだしたということなんだろうか。

 ヤバい。尻に敷かれている未来が……。


「明日は二人で街の様子を見に行こうね! 何か足りない物がないか聞きたいし」


 それでも最後は市長らしい言葉で締めくくる当たり、責任感は強いんだよな。


「そうだな。それじゃおやすみ」


「うん! おやすみ!」


 そう言って頬にキスをされてしまった。まったく……。


 * * *


 翌日、ワナビと二人でみんなが住む住居エリアへと繰り出した。住居エリアの中心には小さいけど公園まであるんだから、ワナビの祖父さんは本当に人を呼び戻すつもりだったんだろうな。


 ちょうど公園の前を通りかかった時、不意に声をかけられた。


「お兄さん! 久しぶり!」


 そう言って俺の腰の辺りにしがみついてきたのは田中のおっさんの娘、恵ちゃん。確か7歳だから世が世なら小学校入学してるのか。


「おう、メグちゃん、久しぶりだな」


 そう言って頭を撫でてあげていたら、背筋がぞくりとした。殺気!?

 恐る恐る振り返ると、瘴気を漂わせるワナビの姿が。


「お兄さん、その女誰?」


 ……いや、ちょっと待て。

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