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第110話 大切なんだぞ?

 なんとか話をここまで持ってくることが出来た。

 さすがに学の回答は予想外というか、さすがというか、俺みたいな一般人には考えも及ばない意外な事だったが、『大事にしていること』を見られるのが恥ずかしいという段階までは到達することが出来た。


 ここから一気に話を普通の感覚に持っていければ……。


 ってどうすんだよ、コレ!

 あまりにもジャンルがかけ離れすぎててどうつなげればいいか分かんねーよ!

 だがここで諦める訳にもいかん。


「うん。そうか。失敗を見られるのは誰だって恥ずかしい。でも、学が俺に見られるのが恥ずかしいと思うのは、それだけ大切にしていることだからだろ?」


 鼻息荒く頷く学。そうか、そんなにか。

 ちょっと俺には理解しがたいが、相手の大切な物を尊重する姿勢は持っているぞ。


「それと同じだ。俺も学との関係をとても大切にしている。だからこれから俺とお前はいろんな『初めて』を経験していくことになるんだ。初めてキスした時だって、嬉しいと同時に少し照れくさかっただろ?」


 思い出したのか、また少し顔が赤くなっている。

 こういう可愛らしいところもあるんだから、本当にあと一歩ってところなんだがな。


「そういった俺と学だけの『初めて』をひとつひとつ、大切に想うからこそ、一気に知識を詰めようとすることは違うと思うし、変なとこを見せて嫌われたくない、つまり恥ずかしいって気持ちが生まれてくるんだよ」


 じっと俺を見つめて微動だにしない学。

 なんだろう。よく分からなかったのか?


 と思ったら――

 すごい勢いで飛びついてきた。


「お兄さん、大好き」

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