第100話 間違ってはいないんだけどね?
「い、今の学の返しが100点の正解だ……」
これだけドキドキさせられてしまっては、完全敗北を認めるしかない。
しかも俺はいくら教えるためとはいえ、どさくさに紛れてなんてことをやってるんだ。
言葉で説明できないからって実演するとか、バカじゃねーのか!?
「私の返しって? ただ嬉しかったからそう言っただけだよ?」
俺が一人ぷちパニックに陥っている隣で学は真剣に考えていたようだ。いかんいかん、俺もしっかり向き合わないと。
「そ、そうだな。あれだよあれ。感情を高ぶらせるというか? いい雰囲気に持っていくというか? 相手をドキドキさせて、自然と気分が高まるようにしていくんだ」
またしても曖昧な答えになってしまったが、理屈としてはそんなとこだろう。こういうのを言語化するのってめちゃくちゃ難しいんだな。恋愛小説書く奴とかスゲーよ。
「なるほど」
腑に落ちる面があったのか、しきりに頷いている学。素直になんでも吸収していく姿は見ていてとても朗らかな気分になるな。
内容さえまともならもっとほのぼのできたんだが。
「ということはお兄さん、さっきの私にドキドキした?」
はうっ!
見事なカウンターパンチ!
視界の外から飛んできた一撃にノックアウト寸前!
さっきから俺は自滅ばっかりしていないか?
「なるほど。こういう態度はお兄さんをドキドキさせることが出来るんだね。勉強になった」
納得してくれるのは嬉しいけど、狙ってやったらそれは小悪魔だぞ?




