衝突
「貴方達何を!」
小野目はすぐさま左手で右腿のショルダーから銃を抜き取り銃口を楠那に向ける。
「いや、私達は伏見殿を使いこの呪いの瘴気から皆様を救くう為に行動していただけですよ」
ドン! 小野目は楠那の話しには耳を貸さず発砲する、放たれた銃弾は楠那の右耳を撃ち抜く。
「ぐぁ……ヒッヒッまぁそうなりますよね、伊豆殿、御殿場殿」
「了解、敵人、戦闘、抹殺!」
「了解した」
その場で伊豆は黒い翼を広げ飛び上がる。
「あの子も……ぐっ」
(これは……あの時と同じ)
御殿場はその場で小野目を糸で縛り付け、勢いよく走り向かってくる。
——鬼化……!——
充彦は呪を高め鬼の姿となる。
『貴方、その角……』
だが、フードを被っていてとしても、額から伸びる角は隠しきることはできなく。
「後でしっかりと説明します、それよりも式神兵さん、俺が攻撃したらあの上空にいる少女をお願いします」
『どういう事ですか?』
「それは後で分かります」
充彦右掌が白く輝く。
「魔力解放!」
充彦が放つ白熱線は小野目と御殿場の間、地面から上空に向け弧を描く、その瞬間に御殿場が放つ糸は切れ、上空から見下ろす伊豆の右の翼を切断する。
「何……たった1回の攻撃だけで状況が」
充彦の右掌は焼け落ち白い煙が立ち上っていた。
6月夏に向けて徐々に暑くなっていく季節に何故、充彦はロングコートを着ているのかそれは、白熱線を撃ち焼け落ちた身体を味方はたまた敵に見られない用に隠す為であった。
味方に心配され判断を鈍らせる、敵にとってはそこは充彦の弱点になる可能性があると自分自信理解していた、その為どんな強い痛みであろうと充彦は痛みで泣き叫ぶことはしない。
白熱線によって御殿場の糸が切られた事により、小野目の身体は自由になり、その場で身体を回転させ勢いよく向かってくる御殿場の首筋に回し上段蹴りを打ち込む。
「……いっ!」バチン! という音と共に、御殿場は態勢を崩しよろけ、地面に右掌を付く。
御殿場すぐさま立ち上がろうと顔を上げた瞬間、容赦無い小野目の踵下ろし。
脳天に強くめり込む程に的中し、御殿場は顔を地面にめり込む様に倒れ、身体は小刻みに痙攣していた。
「先生……凄いですね」
「後、2人ね」
「今、式神兵さんが少女の落ちた場所まで向かっています」
楠那は情けない状態で倒れ痙攣している御殿場が目に付くと、ギリッギリっと歯を鳴らし鋭い眼つきで小野目達を睨む。
「はぁ……、御殿場殿情けないですねぇ」
すると楠那の背中からは黒い翼が生え、爪は長く鋭く尖る、その場で楠那は腰を落とし下半身に力を溜め込んでいる様な態勢で構え始める。
小野目と充彦が警戒し、態勢を構えた瞬間だった。
パァァン! っと何か爆発したような音が鳴ると目の前にいた楠那の姿を見失う。
「お二人殿、何処を見ているのですか? 後ろですよ」
声がした瞬間、小野目と充彦は後ろを振り向くと楠那は右掌に何やら人の腕のような物を持っていた。
その腕のような物の手首辺りには2本の木の枝が布の様な物で止められていた。
小野目にとって見覚えのある物、そしてゆっくりと自分の右腕を見ると、肩から先が無くなっており大量の血が雑草を真っ赤に染めていた。
それに気づいた瞬間痛みが小野目を襲う。
「あぁぁぁ……」
「先生!」
「ほらぁ、早く血を止めないと死んでしまいますよ」
「あぁぁぁ……!!」——
——さっきから、何か笑い声の様な声が聴こえる。
……僕がこんなに苦しんでいるっていうのに、とても楽しそうな。
目の前が霞んで……何だろう何か村みたいな場所……確か僕がいた場所は周りには大きな木々しかなかった筈だけど。
こちらに誰か歩み寄ってくる……人? 何か僕に話しかけているのだろうか?
笑っている、楽しそうに笑っている。
今、伏見の身体には次郎坊の漏れ出る呪を既に80%程を吸収していた。
だがこの呪は、鬼の物とは違い憎しみの感情、凄惨な記憶から生まれた産物であった。
その為、伏見は次郎坊の感情、記憶をも身体に取り入れる事により次郎坊の鮮明な昔の記憶を伏見は見る事となる。
——「やぁ次郎坊、まぁたお前は畑仕事も手伝わず昼寝か?」
「おう、今日は天気がええがらな昼寝しないど勿体無い」
「まぁたお前は……はぁ、まったく」
「それにしても、お前は仕事熱心だなぁ酒田」
僕は次郎坊の視点からこれを見せられているんだろう、そして次郎坊の目の前にいる好青年の額の両端に1本づつ2本の鬼の角が生えていたのだがその青年はとても明るく、優しく笑っていた。




