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異端なる白銀の後継者  作者: れとると
——《追想の地》編——
42/43

衝突

「貴方達何を!」

 小野目おのめはすぐさま左手で右腿のショルダーから銃を抜き取り銃口を楠那くすなに向ける。

「いや、私達は伏見ふしみ殿を使いこの呪いの瘴気から皆様を救くう為に行動していただけですよ」


 ドン! 小野目おのめ楠那くすなの話しには耳を貸さず発砲する、放たれた銃弾は楠那くすなの右耳を撃ち抜く。


「ぐぁ……ヒッヒッまぁそうなりますよね、伊豆いず殿、御殿場ごてんば殿」


「了解、敵人、戦闘、抹殺!」


「了解した」


 その場で伊豆いずは黒い翼を広げ飛び上がる。

「あの子も……ぐっ」

(これは……あの時と同じ)


 御殿場ごてんばはその場で小野目おのめを糸で縛り付け、勢いよく走り向かってくる。


 ——鬼化……!——

 充彦みつひこは呪を高め鬼の姿となる。

『貴方、その角……』

 だが、フードを被っていてとしても、額から伸びる角は隠しきることはできなく。


「後でしっかりと説明します、それよりも式神兵さん、俺が攻撃したらあの上空にいる少女をお願いします」


『どういう事ですか?』


「それは後で分かります」

 充彦みつひこ右掌が白く輝く。

「魔力解放!」


 充彦みつひこが放つ白熱線レーザー小野目おのめ御殿場ごてんばの間、地面から上空に向け弧を描く、その瞬間に御殿場ごてんばが放つ糸は切れ、上空から見下ろす伊豆いずの右の翼を切断する。


「何……たった1回の攻撃だけで状況が」

 

 充彦みつひこの右掌は焼け落ち白い煙が立ち上っていた。

 6月夏に向けて徐々に暑くなっていく季節に何故、充彦みつひこはロングコートを着ているのかそれは、白熱線レーザーを撃ち焼け落ちた身体を味方はたまた敵に見られない用に隠す為であった。

 味方に心配され判断を鈍らせる、敵にとってはそこは充彦みつひこの弱点になる可能性があると自分自信理解していた、その為どんな強い痛みであろうと充彦みつひこは痛みで泣き叫ぶことはしない。


 白熱線レーザーによって御殿場ごてんばの糸が切られた事により、小野目おのめの身体は自由になり、その場で身体を回転させ勢いよく向かってくる御殿場ごてんばの首筋に回し上段蹴りを打ち込む。


「……いっ!」バチン! という音と共に、御殿場ごてんばは態勢を崩しよろけ、地面に右掌を付く。

 御殿場ごてんばすぐさま立ち上がろうと顔を上げた瞬間、容赦無い小野目おのめかかと下ろし。

 脳天に強くめり込む程に的中し、御殿場ごてんばは顔を地面にめり込む様に倒れ、身体は小刻みに痙攣していた。

「先生……凄いですね」


「後、2人ね」


「今、式神兵さんが少女の落ちた場所まで向かっています」


 楠那くすなは情けない状態で倒れ痙攣している御殿場ごてんばが目に付くと、ギリッギリっと歯を鳴らし鋭い眼つきで小野目おのめ達を睨む。


「はぁ……、御殿場ごてんば殿情けないですねぇ」

 すると楠那くすなの背中からは黒い翼が生え、爪は長く鋭く尖る、その場で楠那くすなは腰を落とし下半身に力を溜め込んでいる様な態勢で構え始める。


 小野目おのめ充彦みつひこが警戒し、態勢を構えた瞬間だった。


 パァァン! っと何か爆発したような音が鳴ると目の前にいた楠那くすなの姿を見失う。

「お二人殿、何処を見ているのですか? 後ろですよ」


 声がした瞬間、小野目おのめ充彦みつひこは後ろを振り向くと楠那くすなは右掌に何やら人の腕のような物を持っていた。

 その腕のような物の手首辺りには2本の木の枝が布の様な物で止められていた。

 小野目おのめにとって見覚えのある物、そしてゆっくりと自分の右腕を見ると、肩から先が無くなっており大量の血が雑草を真っ赤に染めていた。

 それに気づいた瞬間痛みが小野目おのめを襲う。

「あぁぁぁ……」


「先生!」


「ほらぁ、早く血を止めないと死んでしまいますよ」


「あぁぁぁ……!!」——







 ——さっきから、何か笑い声の様な声が聴こえる。


 ……僕がこんなに苦しんでいるっていうのに、とても楽しそうな。


 目の前が霞んで……何だろう何か村みたいな場所……確か僕がいた場所は周りには大きな木々しかなかった筈だけど。


 こちらに誰か歩み寄ってくる……人? 何か僕に話しかけているのだろうか?

 笑っている、楽しそうに笑っている。


 今、伏見ふしみの身体には次郎坊じろうぼうの漏れ出る呪を既に80%程を吸収していた。

 だがこの呪は、鬼の物とは違い憎しみの感情、凄惨な記憶から生まれた産物であった。

 その為、伏見ふしみ次郎坊じろうぼうの感情、記憶をも身体に取り入れる事により次郎坊じろうぼうの鮮明な昔の記憶を伏見ふしみは見る事となる。



 ——「やぁ次郎坊じろうぼう、まぁたお前は畑仕事も手伝わず昼寝か?」


「おう、今日は天気がええがらな昼寝しないど勿体無い」


「まぁたお前は……はぁ、まったく」


「それにしても、お前は仕事熱心だなぁ酒田さかた


 僕は次郎坊じろうぼうの視点からこれを見せられているんだろう、そして次郎坊ぼくの目の前にいる好青年の額の両端に1本づつ2本の鬼の角が生えていたのだがその青年はとても明るく、優しく笑っていた。



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