表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペル・エラー ~娘が生まれるのに異世界へ召喚されたので、何があっても帰ります~  作者: とろたま愚鈍
第二部:第一章|オーバーライド編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/149

第九十八話「第二部:プロローグ」

——黒と赤。


暗煙の立ち込める街並みを私は見下ろしていた。

燃え盛る音。人々の呻き声。吹き抜ける風。

世界の音は、それだけだった。


——ザザ


インカムから、通信を受信する。

私の管理者、ロイドだった。


『A-3R、任務は完了だ。撤退しろ。』

「……了解、しました。」


この場での、私の役割は終えた。

そのまま、私は踵を返そうと——


「……けて。」


声がした。

私は、声のする方向へ振り返る。


「助……けて。」

「……。」

「お願い……します。この子、だけでも…」


誰かの、母親だった。

瓦礫に埋もれて、身動きが取れないのだろう。

自分の子供を抱えていた。


地面には、血だまりが広がっている。


——ズクン


胸に、痛みが走った。

これが、何かは分からない。

ただ、手が震えていた。


「ロイド、生存者です。」

『——殲滅が命令だ。対処しろ。』

「……了解。」


私は、懐から杖を取り出し、母親へと向ける。

母親の瞳が、大きく見開いた。


「……そ、そんな!お、お願い……お願いします!」

「……。」


——カアァァン


氷の刃が、親子を貫いた。

二人は、親子だったモノへとなり果てた。


「対処完了です。」

『了解。帰還しろ。』

「……はい。」


私は、踵を返した。

燃え去る街を背にして。


——全てを壊し、殺すための兵器。


それが、私の、『A-3R』の生まれた意味。

それ以外の私に、価値などない。

他に意味を考えることなど、許されない。


——ズクン


また、胸が痛んだ。

耐えがたい、痛み。


——もう、嫌だ。


今にして思えば——

その感情が、私の始まりだった。


——ビー、ザザ。


インカムが鳴った。

先ほどとは違う、非正規の通信。


『……初めまして。』

「……あなたは?」

『アーヴィン・ロックウェル。』


アーヴィン・ロックウェル。

アッシュタウンの支配者。

第二次魔術大戦を終わらせた、三英雄の一人。


「上に報告します。」

『その前に、取引をしないか?』


その言葉が、私を檻の外へ連れ出した。

けれど、自由にしたわけではなかった。


そこから、私が私として生きるための戦いが始まった。

それは、私だけの戦いではなかった。


そして私は、彼と出会う。

キムラ・ジュディという、私を私として見た一人の男と。


第九十八話、お読みいただきありがとうございました!


いよいよ「スペル・エラー」第二部がスタートです。


お待たせいたしました。

お待たせしすぎたかもしれません。


本日は、三話まで10分おきに公開予定です!

ブクマやコメントをいただけると、嬉しいです。


よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ