第百七十三話「負け戦」
翌朝。
目を覚ますと、カイラがテーブルに突っ伏していた。
「……あっふ。」
欠伸をしながら、目を擦っている。
「カイラ。寝不足か?」
「んー。ちょっとね~。」
「昨日の夜、なんかやってたよな?」
「んー、ちょっとね~。」
「……。」
言う気は、ないみたいだな。
まぁ、いいか。
昨夜、俺たちが部屋に戻ってからも、カイラはずっと端末を触っていた。
何をしていたのかは、何となく想像がついた。
「カイラ。」
「ん。なぁに?」
「アーヴィンと話した情報は、共有するよ。何か交渉前に掴めるかもな?」
「……な、んで?」
「何が?」
「なんで、分かったの?」
「分かるよ。ずっと一緒にいたろ?」
「……。」
カイラが、少しだけ頬を膨らませた。
「……ずっるいなぁ。ジュディ。」
「え。別にズルじゃないだろ。情報共有くらい。」
「そうじゃない!もう、知らない!」
……理不尽かよ。
帰ったら、ゆっくり話し合おう。
「じゃあ、行ってくるわ。」
「うん。」
「昼までには戻ると思う。」
「……分かった。気をつけてね。」
カイラが、また端末へ視線を戻す。
今度は、欠伸を噛み殺しながら。
……いや寝ねぇのかよ。
ネルと二人で、アッシュガードの拠点へと出かけた。
—
アッシュガードの本拠地は、大きなホテルだった。
元々宿泊施設として使われていた建物を、そのまま拠点として改造しているらしい。
外観こそ古いが、入口には何人ものアッシュガードが立っている。
入口に向かう途中で、ネルが口を開いた。
「さてぇ。ジュディ~?」
「ん?」
「正直ぃ、今回の交渉はどうなるか読めないねぇ?」
「あぁ。向こうの狙いも、こっちの狙いも全部は見えてねぇからな。」
「先に、言っておくねぇ?」
「……何。」
ネルが、人差し指を立てる。
「本来ねぇ?私はこういうの、得意な方なんだよぉ~。」
「……。」
……そうは見えねぇけどなぁ。
でも、納得はできた。
ネルは、人の考えを読むのが得意だ。
目線。声。呼吸。指先。
俺には分からないような細かい挙動から、相手の考えを平然と拾ってくる。
それを交渉に使えば、そりゃ強いだろう。
「でもねぇ。アーヴィンは別ぅ~。」
「別?」
「うん。この間の通話で分かった。」
「……思考が、読めないってことか?」
「そぉ~。ドンズバぁ。挙動が最低限すぎてぇ、読みづらい~。」
「……ドンズバって。」
「あっは!凪って感じぃ~。」
「……凪、ね。」
随分と穏やかな表現だな。
「まぁ、大丈夫だろ。元々頼るつもりもなかったしな。」
「ん。そうなのぉ~?」
「俺も、こういうのは得意な方だからさ。」
「よぉ!ジュディ!か~っくいぃ~~!!」
リオの顔で、クネクネすんなよ。
違和感がすげぇ。
—
入口についたところで、向かいから声がした。
「……お待ちしておりました。」
姿勢の良い一人の男が、こちらへ歩いてくる。
研究員だろうか。
身にまとっている白衣が整っている。
昨日街で見たアッシュガードの連中とは、少し雰囲気が違った。
男が、俺たちの前で足を止める。
「お初にお目にかかります。ショーン・プライドと申します。」
「どうも。キムラ・ジュディです。」
「初めまして。リオ・サーンと申します。本日は、お招きいただきありがとうございます。」
……ひぇ。
中身がネルだと知ってると、違和感やべぇな。
「これは、ご丁寧に。どうぞ、こちらです。」
ショーンの案内で、建物の中へ入る。
ホテルだった名残は、まだ残っていた。
広いロビー。長い廊下。
ただ、客室だった場所の多くは扉が取り外され、事務室や倉庫として使われている。
「……一つ、よろしいでしょうか?」
隣を歩いていたネルが、口を開いた。
「えぇ。なんでしょうか。」
「昨日、街を歩かせていただきました。」
「えぇ。存じております。」
「その際、少し気になるものを見まして。」
「……気になるもの?」
「麻薬です。」
ショーンの足が、僅かに緩んだ。
……どうやら、心当たりはあるらしいな。
「街に、麻薬が流行しているようですね。」
「……えぇ。困ったものです。一体どこから流通しているのやら。」
「詳細は、ご存知でないと?」
「あなたは、何かご存知なのですか?」
「えぇ。私も研究者の端くれですので。」
ネルは、柔らかく笑った。
……思わず吹き出しそうになる。
わ、笑うな。笑うなよ。俺。
「一年前にカルディアで流行した、パフパラであることは分かっています。」
「……そうですか。ならば、その危険性もご存知でしょう?」
「えぇ。何か、手は打っているのですか?」
「もちろんです。このまま、野放しにするわけにはいきませんから。」
「……そうですか。」
たった、それだけ。
ネルは、それ以上何も聞かなかった。
ショーンも何事もなかったように、再び歩き出す。
横目で、ネルの様子を伺う。
ネルは、ただ前だけを見ていた。
……何か、分かったんだろうか。
—
案内されたのは、ホテルの一室だった。
まぁ、この場所は全部ホテルの一室なんだろうけど。
元々は大人数用の客室だったのかもしれない。
ベッドや家具は全て撤去され、中央に大きな机が置かれている。
その奥に、アーヴィン・ロックウェルが、座っていた。
右手には、ショーン。
そして左手には……仮面の、男。
得体が、知れない。
随分怪しい奴を、傍に置いてんだな。
「ようこそ。キムラ・ジュディ。」
アーヴィンが、穏やかに笑った。
「昨日は、よく眠れたかな?」
「……あぁ。お陰様で。」
「それは良かった。」
「随分、大盤振る舞いだったな。あの宿は。」
「……そうかい?」
「外と比べて、綺麗すぎんだろ。」
「大事な客だ。丁重に扱うのは当然だろう。」
「……それをする余裕があるなら、もうちょい街にも目を向けた方がいいんじゃねーか?」
「はは。これはこれは。手厳しいな。」
アーヴィンが、肩を竦める。
「これでも、全力でやっているよ。」
「……そっすか。」
昨日見た街を思い出す。
少なくとも、何もしていないわけではない。
「座りたまえ。」
「あぁ。」
リオと並んで、アーヴィンの向かいへ腰を下ろす。
机の上には、既に茶が用意されていた。
「さて。改めて君には礼を言おう。」
「……礼?」
「ハピレスの件だ。助かったよ。」
「別に、あんたらのためにやったんじゃねーけどな。」
「理由は関係ない。事実として、我々は助かった。受け取ってくれたまえ。」
「いいけどよ……。あんたら、取引してたんじゃねーのか?」
「取引相手と友人は、同義ではないよ。」
「んだよ。冷たい社会だね。若者が嫌がるぜ?」
「企業社会にいる君が言うのかね?」
「……ごもっとも。」
アーヴィンが、小さく笑った。
思ってたより、普通に話せる。
「まぁ、いいか。別に雑談しに来たわけじゃねーしな。」
「私としては、このままティータイムと洒落込んでも構わないがね。」
「……なんだよ。意外と茶目っ気あんだな。」
「メリハリは大事だろう?」
アーヴィンが、茶を一口飲む。
「とはいえ。君が望むのなら、本題に入ろうか。」
「あぁ。」
少しだけ、姿勢を直す。
「まず、こっちから質問していいか?」
「あぁ。構わないよ。」
「俺を、直接ここに呼んだ理由はなんだ?まさか、礼を言うためだけってわけじゃねーだろ?」
「あぁ。そうだね。」
アーヴィンが、俺を見る。
さっきまでと、何も変わらない。笑っている。
ただ。
何となく、俺の中の何かを見られている感じがした。
「本来なら、こちらから出向きたいところだったのだが。今は色々と立て込んでいてね。」
「……いいって、そういうの。理由をさっさと言ってくれ。」
「確かめたかったんだよ。」
「……何をだよ。」
アーヴィンが、少しだけ目を細める。
「ジュディ。君はもう、大分混じっているね。」
「……。」
一瞬、意味が分からなかった。
「見た限りだと、残り四……。」
アーヴィンが、俺の顔を見る。
「いや。三割かな?」
「……何の、話だよ?」
「アルト・フェルンに置き換わるまで、残り二十日といったところか。」
「……あ?」
思わず、声が漏れた。
隣を見る。
ネルも、僅かに目を見開いている。
そんな俺を見て、アーヴィンが笑った。
「意外、という顔をしたね。」
「……そりゃあな。」
「私は魔法使いだ。」
「……。」
「エルナ・クロイツよりも、熟練のね。」
「……なるほどね。」
「何がだい?」
「そこまで知ってるんなら、話は早いな。」
椅子へ、深く座り直す。
「あんた。こっちの狙いは、もう分かってんだろ?」
「もちろん。」
即答だった。
「その同一化。解決してほしいんだろう?」
「……。」
……やっぱりか。
ただ、それだとまだ『浅い』な。
「おや。違うのかね?」
「いや。ちょっと前までは、それで万事解決だったんだけどなぁ。」
「……ほう?つまり、目的は別……。」
「……。」
「いや、目的が増えているな?」
アーヴィンが、楽しそうに俺を見る。
「改めて。こっちの頼みを、聞いてくれるか?」
「良い。話してみたまえ。」
一度、息を吐く。
「エミリを、渡してほしい。」
「それはできない。」
……早ぇな。
さっきの回答よりも食い気味だった。
「……一応、理由聞いてもいいか?」
「彼女は、これから我々が始める事業の要だ。」
「事業?なんだよ。アッシュガードを企業にでもするつもりか?」
「あぁ。その通りだよ。街の復興には、企業の成立が不可欠だ。」
「……その事業って、何やんだよ。」
「それについては、午後に正式な席で発表するつもりだよ。」
「……なるほどね。」
「もう、気付いているみたいだね?」
「あぁ。昨日、MANAの役員と会ったしな。」
「……ほう。知り合いがいたのかな?」
「あぁ。企業化するなら、外と繋がる必要がある。事業が何なのかはわからねーが……。」
「……。」
「事業の内容を、午後に発表する。融資か、協力か。いや、先行販売の線もあるか?」
「はは。概ね、その通りだよ。」
……なるほどね。
アーヴィンは、隠そうともしなかった。
「……エミリ本人は、それを望んでんのか?」
「望んでいないどころか、知りもしていないよ。」
「……あ?」
「本人に伝えると、面倒なことになるからね。」
「……それを、是としていいと思ってんのか?」
「もちろん。思っていないさ。彼女は曲がりなりにも私と同じ魔法使いだ。」
「なら、せめて——」
「それでも、彼女は渡せない。」
声色は変わらない。
怒っているわけでも、俺を挑発しているわけでもない。
ただ、決まっている。
そういう言い方だった。
「ふぅ~。この件に関しては、並行線だな。」
「あぁ。別の希望なら、可能な限り応じよう。」
「なら、交渉だな。」
「ほう?何か、交渉できるものがあるのか?」
「……手札がないわけじゃねーよ。手ぶらじゃ来ないさ。」
「……言ってみたまえ。」
「バイオストーン。」
その名を聞くやいなや。
ほんの少し、アーヴィンの目が細くなった。
「……あんたら、今ちょっと気まずいんじゃねーか?」
「続けたまえ。」
「エミリは、バイオストーンから奪った。ハピレスの協力を得てな。」
「あぁ。そうだね。」
「あんたらの事業の詳細は、まだ分からねぇ。ただ、このまま企業にするってんなら、各企業とは穏便に行きてぇよな?」
「……ツテが、あるのか?」
「あぁ。」
一拍置く。
正直、この線は望み薄だけどな。
「ロイド・カーター。バイオストーンのエージェントだ。」
「……。」
「そいつに、正式な場として繋いでもいい。」
「……なるほど。」
「共同研究なんてーのも、いいんじゃねーか?」
アーヴィンが、顎に手を添える。
少しだけ考えるような素振りを見せた。
「……ふむ。」
「どうだ?悪い話じゃねーだろ?」
「実に、面白い提案だ。」
「なら——」
「だが、刺さらないね。」
「……まぁ。そうだよな。」
ネルが、俺を見る。
アーヴィンが笑った。
「始めから分かっていたね?」
「……まぁ。そりゃーな。」
「なら、何故言った?」
「エミリを強奪した時点で、バイオストーンと敵対することくらい計算に入れてんだろ?」
「その通り。」
「それでも、言わないよりはマシだ。」
「……。」
「言わなきゃゼロ。言ったとしても、こっちにデメリットはない。」
肩を竦める。
「少しでも付け入る隙が出来りゃ御の字だ。なら、言う価値はあんだろ?」
「……ふむ。」
アーヴィンが、少しだけ笑った。
「色々と、心得ているようだ。」
「よく言うぜ。刺さってねーんだろ?」
「はは。あぁ。刺さっていない。」
アーヴィンが、茶を飲む。
「却下だね。」
「……ですよねぇ。」
負けた。
少なくとも、この場で切れる札はもうない。
—
「おや。」
アーヴィンが、壁に掛けられた時計を見る。
「もう、こんな時間か。」
「……。」
「申し訳ないが、今日は予定が詰まっていてね。」
「まだ、話は終わってねーけど。」
「そう言わないでくれ。」
アーヴィンが、こちらを見る。
「協力したい気持ちはある。」
「……エミリは、譲ってくれねーのに?」
「それとこれとは別だよ。」
「……。」
「君の同一化を解決するということなら、いつでも行える。」
「……そんなさっくり、いいのかよ?」
「もちろん。タダというわけにはいかない。」
……ですよねぇ。
そんな上手い話があるわけないか。
「時間もないから、手短に伝えよう。」
「……あぁ。」
「世界のルールへの抵触は、魔法使いでもそれなりにリスクがある。」
「……。」
「それも、条件次第だがね。」
「なんだよ。ハピレス潰してやったろ?」
「はは。」
アーヴィンが笑う。
「集った蠅を落としてくれた程度では、少し重すぎるね。」
「……言ってくれるじゃねーか。」
「事実だろう?だから先ほど、礼を言ったじゃないか。」
「……結構大変だったんだけどな。」
「では改めて、礼を言おう。これで三つだ。よかったね。」
……こいつ。
やっぱ、ちょっと面白ぇな。
「じゃあ、何が条件だ?」
「簡単さ。」
アーヴィンが、指を一本立てる。
「君の同一化を解決するときに、こちらの研究員を観測要員として同席させてほしい。」
「……研究員?何のために?」
「それは、こちらの事情だよ。」
「……。」
「少なくとも、君に害を与えるつもりはない。約束しよう。」
「そういう問題じゃねーんだけどな。」
「では、考えておいてくれたまえ。」
アーヴィンが、立ち上がる。
「本来、私が君と話したかったことはこれだけだ。」
「……エミリの話は?」
「答えたはずだよ。渡さない。とね。」
「……。」
……駄目か。
「また後日、答えを聞こう。まだ二十日もある。ゆっくり考えたまえ。」
「……嫌なこと言うなよ。」
「あまり、そのことに関して自覚がないようだからね。念押しさ。」
「……。」
「アポイントは、直通回線で時間を指定してくれ。極力、調整しよう。」
「……随分、融通利かせてくれんだな。」
「言っただろう?」
アーヴィンが、また笑う。
会った時から、ずっと、胡散臭い笑顔だ。
「君は、大事な客だ。」
「……そりゃ、どうも。」
俺は、立ち上がる。
その時、一度だけ。
仮面の男と、目が合った。
「……。」
向こうは、何も言わない。
俺も、何も言わなかった。
—
本部を出る。
しばらく、ネルとは何も話さずに歩いた。
「……ジュディ。」
「ん?」
「何も、ないのか?」
「……あぁ。現状だと交渉に関してはお手上げだな。」
「違う。あと、二十日って。」
「……。」
あぁ、そっちか。
「ネ……リオから、前にも言われてたろ?」
「だから、分かってたって?」
「あぁ。長く見積もって、一ヶ月もないって。」
「……。」
「別に、今さら驚くことでも——」
「気に食わない。」
「……なんだよ。」
ネルが、足を止めた。
俺も、立ち止まる。
「ジュディ。」
「ん?」
「私は、気に食わない!!!」
声が、大きかった。
少し離れた人間が、こっちを見る。
ネルは、気にも留めていなかった。
「なんで、そんな普通なんだ?」
「……普通って。」
「あと、二十日なんだぞ!?お前、死ぬんだぞ!!」
「……。」
「分かってたから何だって言うんだ!?前から知ってたら、平気なのか!?」
「いや。そういうわけじゃ——」
「じゃあ、なんなんだ!!」
珍しく、言葉が荒れていた。
「……。」
俺だって、別にどうでもいいわけじゃない。
怖くないわけでもない。
「止める方法は、あるだろ?今だって、アーヴィンが出来るって言った。」
「……そういうことじゃ、ないだろ。」
「……。」
「……私は、君はあの場ですぐ頷くべきだったと思う。」
「それは、できねーだろ。エミリの問題が——」
「頷くべきなんだ!!!普通の人間は!!!」
「……。」
沈黙が、落ちた。
ネルが、肩を震わせている。
珍しく、呼吸が荒かった。
「……お前が、いるだろ?」
「……は?」
「俺は、天才の被験者だ。」
「……。」
「死にたくても、天才が死なせちゃくれねーだろ?」
ネルが、俺を見た。
「……そういうとこ。」
「あ?」
「そういうとこが、気に食わない。」
「……なんだよ、それ。」
「ば~~~か。」
「……天才に言われると、効くなぁ。」
「そんなこと、ない。」
「ん?」
「私も、バカなのかもなぁ。」
そう言って、ネルは空を仰いだ。
二人で、また歩き出した。
—
宿泊施設への帰路。
俺は、話した内容を端末にまとめながら歩いた。
「……リオ。」
「ん~?」
「……正直さ。さっきのどう思う?」
「うーん……。」
「……。」
「交渉じゃ、無理だねぇ。」
「……だよなぁ。」
予想はしていた。
していたけど、実際に全部弾かれるとそれなりに腹は立つ。
「もう、さ。エミリ、盗っちゃう~?」
「そんな物みてぇに……。」
「じゃあ、救出ぅ?」
「それなら。まぁ……。」
「厳密には、救出ですらないんだけどぉ~。」
「うっさ。」
「あっは!」
ネルが、笑った。
よかった。
いつもの調子に、戻ったみたいで。
「……あ。そうだぁ。もう一個あったぁ。」
「ん。何?」
「パフパラ。」
「……あぁ。」
ネルが、足を止める。
俺もつられて、足を止めた。
「何か、分かったのか?」
「うん。」
ネルが、さっきまでいた建物を見る。
「流しているのは、ショーンだ。間違いない。」
「話してて、分かったのか?」
「あっは!本人、だんまり決め込んだつもりでも。バレバレ。」
……やっぱ。
すげぇな、こいつ。
「……でも、なんで流してんだ?」
「さぁ?そこまでは、分からない。」
「……。」
「でもさぁ。」
ネルの声が、少しだけ低くなる。
「いい気は、しないよねぇ?」
「……あぁ。」
昨日の男を思い出す。
半分魔石になった死体。
その傍で、笑っていた男。
「ショーンも、調べてみるか?」
「うん~。まぁでも、大した研究者じゃ~なさそうだねぇ。」
「……そうなの?」
「私と比べたらねぇ?」
「……まぁ、そうか。」
再び、二人で歩き出した。
「……で。結局どうすんのぉ?」
「ん?」
「エミリだよぉ。」
交渉では、無理。
なら。まぁ。やるしかねーよな。
「……とりあえず。居場所、探すか。」
「盗るためにぃ?」
「救出、な?」
「細かぁ~。」
どこにいるのか。
まずは、そこからだ。
第百七十三話、お読みいただきありがとうございました!
あっさり、負けましたね。
一応、ジュディなりに手札は切ってみましたが。
アーヴィンには、あんまり刺さらなかったようです。
次はいよいよ、エルド&カイラの打ち合わせ。
こっちは勝てるのでしょうか?
レディ~。ファイ!!
次回も20:10、更新予定です!
ブクマやコメントをいただけると、ジュディの交渉カードが一枚増えます。
よろしくお願いします!




