教えて!松下ボス!!~特殊感染症監理課って何をする所なの?~
「ところで松下ボス……あの、このトッカン……もとい特殊感染症監理課って普段はどのような事をしている課なんデスカ?」
奥秩父から帰って来て数日が経過したある日の事、ルシアはそのような事を課長に尋ねた。
場所は中央合同庁舎第5号館の一角にあるいつもの特殊感染症監理課。ルシアも馴染んで来たある日の事であった。
「うーんとね。うちはねぇ……そうだなぁ。有体に言えば、疫病解体センター……かな……」
松下課長がそう悩みながらそう言った。
「「「(なんか変な事言いだしたよこの人……)」」」
飯酒盃、佐藤、国村の三人は同時にそう
漫画なら効果音はがびーんと言った所だろうか? そのような微妙な空気が流れる。
「ええと。疫病解体センターとは?」
「あ、ううん。気にしないで。単なるジョークみたいなもんだから」
そう松下課長は手を振って苦笑する。
「えーこほん。特殊感染症監理課の主な仕事は、今飯酒盃くんが目を通している通り……」
「世界の変な病気漁りだ」
松下課長の言葉に割り込むように飯酒盃はそう言う。
飯酒盃はデスクでWHOやCDC、世界各地の論文が纏まっている雑誌を読んでいた。
「そう。世界の変な病気漁り……もとい海外の感染症情報の監視も業務の1つです」
松下課長はそのように持ち直す。
「ルシアさんの論文とか発見とかもこの業務で知ったんです」
飯酒盃はそう微笑みながら言う。
「それはどうもありがとうございマス」
お礼をするルシア。
「後は、国内の原因不明症例の整理……ですかね」
佐藤はそう語る。
「まぁそうだねー。全国からの病院、保健所、自治体から上がってくる高熱やら神経症とか、変な集団感染だとか、これトッカン案件ですか?と送り付けられてきた話を、既存の病気や最新の情報やらと照合したりしなかったりするのが主な業務かな?」
国村はそう奥でPCをカタカタさせながら言う。
「それが主な業務ですっ。後は行政から送られてきた検体を専門の研究機関に送って解析を依頼して、その戻って来たデータや結果を分かりやすく纏めて、また行政に報告すると言った橋渡しの役目もあるのです」
松下課長はぴしゃりと言った後にそう語る。
「ま、それに関しては今回の鉄塔病のように、警察がこれトッカン案件だろと回してくるケースもある」
飯酒盃はふうと一呼吸して言う。
「成る程。それで警察から来た事件には五十木警部が居るのデスネ」
「それは、まぁ居ない時もある。その場合は割とグダるから気を付けて」
ルシアの言葉にそうバツが悪そうに言う飯酒盃。
警察から特監に来るような事件は、大体変死体だの怪死が大半である。
五十木警部の様にそういうの担当で話の分かる人が居るなら問題は少ないが、そうでなかった場合は、厚生労働省が何のようじゃいと露骨に嫌そうな顔をされる。
そうでなくとも警官たちの態度があまりよろしくない。
なにせ特監が出張って来るような事件は十中八九、犯人が人間ではないのだ。警察としては不満である。いや、たまに犯人が人間の場合もあるので油断はできないのだが……
「後はマニュアル作りだの通達制作。というか今やってるこれだね」
そう言うのは国村、先ほどから医療機関向け事務連絡の文章を制作しているようであった。
「後は、会議や訓練かな。訓練に関しては空港検疫との連携訓練とか新型感染症想定訓練とか」
「空港検疫か……古巣だから嫌なんだよな……」
松下課長の言葉に飯酒盃は反応する。
なにやら嫌そうな記憶があるようである。
「え、古巣って飯酒盃さん、空港検疫官だったのデスカ!?」
そうルシアは驚く。
「昔の話だ」
そうバツが悪そうに飯酒盃は言って席を立つ。どうやらあまり語りたくない過去らしい。
「それとですね……トッカン案件かな?と思われる事案の中にはしょうもないオチがあったりします」
それを見た佐藤はそう眼鏡をくいとしながら言う。
「あー。結局ただの食中毒だったとか、奇病だとSNSで騒がれたけど結局誤認による集団ヒステリーだったりとかあったねぇ……」
その言葉に遠い目をしているかのように言う国村。
「と、まぁ大体これが特殊感染症監理課……トッカンのお仕事です」
そう格好良く決める松下課長。
「成る程……どうもありがとうございマシタ!」
笑顔でお礼を言うルシア。
「では……ルシアさんはWHOから来た例の感染症に関して調べて頂きたい」
「了解しました!ボス!」
そう元気に返事をするルシアであった。
とりあえずおしまい。




