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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第8章 軍団になった日

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第11話 フラムと作戦会議

金沢ダンジョン側のメンバーによる会議です。

 俺は俺7号。フラム担当として、ダンジョン人の世界に潜入しているフレイヤとアリスの動向を追いかけている。フラムのペルソナが巧くサポートしてくれると言っても、四六時中2人を追いかけるのも大変なので、俺1号とフラムを交代することにしている。

 特に今はフレイヤたちが現地の親子の家に宿泊するという状況になり、特に状況が動かないこともあり、晩御飯を食べながら会議をしている。


 高山ダンジョンにいたジェシーとメルは、こちらにいたマナと影子の分身と合流して北海道の知床半島に向かっている。ちなみに、知床半島の立ち入り禁止区域に人知れずダンジョンが開いたらしい。さらにそこでスタンピードが発生したというのだ。衛星から確認された飛翔体はドラゴンらしく自衛隊も出動する騒ぎになっている。この状況で向かったジェシーとメル、マナと影子の4人だが、ダンジョンに特攻するというよりは、スタンピードのモンスターから都市を防衛する形になるだろう。飛翔するモンスターは行動範囲が広いのが難点だ。マナがいるので、思い切った動きができないと思うが、そこは上手くやるとジェシーは言っていた。


 そして、その状況も気になるのだが、今やこの事態の原因であるダンジョン人の世界に乗り込んでいるフレイヤとアリスのバックアップが最重要となる。

 南さんが今までで分かった状況を整理した資料を作ってくれている。


「フラムさん。調和派と深淵派の拠点は分かるんでしょうか」

「ごめんなさい。しっかりとした場所は覚えていなくて」


 俺はひとまず謝る。フラムのペルソナは、本当にいろんな知識をアップデートされている。しかし、地理や人物といった情報については、かなり限定的だ。これは、スキル構築に置いて情報を持たせること自体が難しいことと、そういった情報を渡すことが禁止されていることが理由じゃないかと予想していた。

 まぁ、侵略されている側に機密情報を漏らしている時点でかなりやばいと思うから、仕方ない。ムー教授は、ぎりぎりまで頑張ったんだろう。


「いえいえ、問題ないです。フレイヤさんたちが調査できそうな内容ですから、気にしないでくださいね」


 笹木がいち早くお弁当を食べ終わったようだ。


「ふぅ、ここのお弁当美味しいね。また、買ってきてもらおうかな」


 金沢ギルドの受付嬢が買い求めてくれたお弁当がとても美味しい。でも、ちょっと空気を読んで俺。


「ごめんごめん。ところで、フレイヤたちが行った家庭だけど例外って訳じゃなければ、かなり魔法に頼り切っている文明だなーっていうのが感想だね。更に言うと魔法に頼りすぎてる。なぜ、あそこまで電気とかガスとかのインフラが発展してないのかな」


 俺は分からないからペルソナを起動して、フラムの回答に期待だな。


「私にも分からないわ」


 フラムのペルソナは、そう答えた。


「そうだよな。使っていない理由ってのは分からないか」


 そこでひよりが手を挙げる。ひよりもお弁当を食べ終わったらしい。


「僕の予想なんだけどさ。あまりに便利だったから、新しい技術を開発する労力が惜しかったんじゃない? せっかく電気があってモーターがあるのに、わざわざ蒸気機関を発明しようと思わないみたいにさ」


 南さんは、まだ食べ終わっていないが、箸をおいて聞いてくる。


「でも、こちらの魔道具には電気を使うようなものもありますよね。物理現象は同じと考えれば、電気は知ってると思うんですよね」


 ひよりは、デザートのプリンの蓋を開けるのを中断する。


「魔力を使うことに固執しているんじゃないかなぁ。ある程度の物理学の知識はあると思うよ。じゃないと、魔道具なんて作れないもの。あちらにも工業製品はあるけど、それは魔法や魔道具に比べると、利便性なんかがすごく落ちるものが多いんじゃないかな。こっちの世界に比べて工業製品のレベルは低いのかも。加工技術とかも魔法に頼ってるなら、生産能力も低いかもしれないよ?」


 ひよりの意見について考えてみる。フラムは食が細いのか、まだお弁当を食べきれない。ちまちまと食べていると笹木が発言する。


「じゃあ、あっちの人間に、こちらから工業製品を送ってみるとかどうだろうね。フレイヤたちが入った風呂なんかも、ほとんど日本の風呂で同じことができるよ」

「それも一利あるかもしれませんね」


 南さんも賛同するものだから、笹木の調子が上がってくる。


「向こうと貿易するっていうのも、おもしろいね。魔道具を買って、工業製品を売りつける。すごい産業になるかも。テレビみたいなものもあるし、コンテンツの販売なんかもできたりして、面白いね」


 まぁ、その工業製品の輸送はかなり大変なんだけどね。そういえば、ひよりの方の研究はどうなったんだろう。魔力を向こうの世界に送り込む方法は発見したんだろうか。その話をひよりに振ってみると、ひよりは食べ終わったプリンのスプーンを持ちながら答えてれる。



「月のダンジョンにあったアンテナなんだけど魔力を送るための装置だというのは確認が取れたよ。でもね、月のダンジョンに受信アンテナみたいなものがないんだよね。ガームドさんとも構造なんかをベースに議論したんだけど、やっぱり無いのさ。そこで分かったのは、月自体を魔力のアンテナとして使っているんじゃないかってこと」


 そこでひよりは端末を操作して、モニタにイラストを映してくれる。そこには、地球と月、そして、その月の裏側にくっついているダンジョンが描いてある。


「じゃあ、月へ魔力を送るのはどこかって話なんだけど、バミューダトライアングルのダンジョンなんじゃないかと思ってる。バミューダトライアングルのダンジョンから吹き上げた魔力が月に到達するとそれを吸い取って、あちらの世界に魔力を送るのさ」


 そのイラストでは、地球にある魔力が細々と噴水のように宇宙に飛び出している。それは、なんだか何周も地球の周辺で円を描きながら遠回りをして月へと到達している。


「何故こんなにグネグネとしているのかしら?」


 俺がそう聞くと、ひよりが頭をぽりぽりとかく。


「フラムもそう思うよね。僕もさ。こんなにグネグネしてたら、魔力が届かないじゃないかって。そうなんだよ。この経路でいいのは、地球に魔力が満ちている場合なのさ。月のそばまで魔力が溜まっていれば、月が吸い込んで魔力をダンジョン人の世界に送りこむことができる。なんか、溢れるほど溜まったら水が流れ出すような、取水口がないダムみたいな構造だよ」


 ひよりが端末を操作すると、溢れるほど魔力が満ちた結果、ようやく流れ出すイメージが映し出される。


「だからさ、ガームドさんと話したんだけど、この魔力の経路を制御してあげれば、もっと早くに魔力が供給されるんじゃないかって思うんだよね。でも、こんな魔力の奔流を制御する装置なんて無いんだよね。でも、ダンジョン人側は、町の間に魔力を送る技術があるようだから、それが知りたいね」


 ひよりが提示したミッションは、フレイヤとアリスにお願いしたい内容だ。俺もフラムのスキルを使って、色々、あちらの世界をのぞいてみようと思う。


「そうすると、やっぱり深淵派か調和派にもぐりこむのが必要だね。大きな学派だと技術を保有してそうだし、ひと手間省けるんじゃないかな」

 

 そして、この後も今後の動き方について話は尽きないのだった。


今後、どう動くのか、ご期待ください。

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― 新着の感想 ―
>今後、どう動くのか、ご期待ください はい!
手を取り合えば解決出来そうな感じだけど、侵攻?されてる側からの提案を素直に聞き入れてくれる深淵派は少なさそうだなぁ……
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