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ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
無謀で勇敢な者に一欠片の自由を
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藍色の石

「それで、僕らは一度賢者の石と契約魔法を結びます。この事は既に皆さんにお伝えしたことなんで大丈夫だと思いますがあと数十分で始まる争奪戦について簡単に話していきたいと思います」


 今回賢者の石を主軸として始まるこの争奪戦には途方に暮れるほどの契約があるのだがこの国家が主催するくらいだしそこら辺は目を瞑るとしてオルフィットがボロボロの手帳を取り出すとゆっくりと喋り始めた。


1、挑戦者は一人から最大十人の小規模なチームで参加しなければならない。


2、挑戦者は常に賢者の石と簡易的な契約・誓約を結んだ状態となり、また賢者の石の所有者は一時的な【叡智】の使用が許可される


3、挑戦者は賢者の石と契約・誓約状態の間は【仮初の命】を強制的に受けることにより各挑戦者に仮初の命を五つ埋め込まれることとする


4、【仮初の命】が全て無くなった挑戦者は失格として強制的に賢者の石との契約・誓約を打ち切られる


5、賢者の石の所持者が命が絶たれた場合、絶命させた挑戦者、魔物に所有権が移ることとする


6、商業国家ファークト全域に存在する魔物・挑戦者の命を絶つことで点を得る事になる


7、点はチームに共有となり、各日毎に賢者の石が定めた基準に達していない挑戦者、またそのチームは失格とする


 これら七つの契約を容認し、賢者の石との契約を快く引き受ける無謀で勇敢な者たちに敬意と慈悲を…とかいうまあ上から目線に書かれた規則書を一言一句話すオルフィットの二度目の説明を欠伸をしながら聞き流す。ポトッル教授とオルフィットの三人でどんな抜け道があるかとか色々と考えていたりと何もしないで時間を浪費はしていないからな。


 それに今回の商業国家ファークトが主催する国宝とも言える九つ存在する賢者の石を【錬金導師】の弟子であるイフラー・キージェストの名の元により『強き者として存在する者』に、『賢者の石として認知される者』に様々な形でファークトに訪れる者全てに行き届くように誓約魔法に近い契約魔法で確立されているとも聞いていないけど今朝この国のお偉いさんがお話をしていた時に言っていたことらしいが何で賢者の石が九つあるってことで話が進んでいるんだ?


 仮に【錬金導師】が隠し続けていたといっても伝説として語り継がれる位に有名な話だと思うが皆そのことについては全くと言っていい程触れないから【幻想】にでも掛かっているのかと疑問に持ったが別に今まで実物が露呈していた訳じゃないからそこまで気にならないのだろうな。楽観的に捉えるのならその魔法に関しては完璧と言っていい程の片鱗を手に入れる事になるのは確実になるから数が増えればその分自分にも可能性があるとか思っているのだろうか…


 例え行き届かなかった者も悲観せずどのような手段であっても勝ち取った事実は変わらないから死ぬ気で奪い合え、その為に賢者の石を主軸とした戦闘を行う。とか付属してとにかく醜く争え的なことも言っているのもいるかな…テーブルの上に置いてあったカーシュっていうリンゴに似た物から作られたアップルパイの一切れを食べながら隣に座っているグリエから声を掛けられる。


「ジェバル君は賢者の石に興味とかは?」


「自分は…自慢げに書かれている通りの効力を発揮するかどうかでですけど伝説として名が残るくらいだしロマンがありますからね」


「ロマンねぇ…ジェバル君はそういう風に賢者の石を捉えていたんだ。いや、『アルチャー』の教授さんとお話した時に同じような質問をされたからジェバル君はどんな風に返してくれるのか気になってね」


「ポトッル教授は…一番賢者の石について言っていた人ですけど争奪戦の時に外部からの対応ができないから今回もパスするって嘆いていましたよ」


 空のコップに魔法で創った冷水を入れてゆっくりと飲みながらグリエさんと話していたが賢者の石に関しては正直実体がなく言葉だけが色んな所に歩き回っただけかもしれないしただそういう物に多少のロマンを持ち合わせるくらいが丁度いいのだ。別に今自分が欲しい物と言えば今回の賢者の石よりも確実性が無いような物だからそこまで強く言えなかったり…


『出来る限りの事なら手伝うぞ、お主(ジェバル)


(聞いてたんだ、最近話す機会が少なかったり【宝物庫】にいるのもあまり無いからすごい久し振りに喋っている気がする)


『要件を消化させに少しの間席を外していたのと大して変わらぬ、そこまで気にせずにいればいい。我も過去に縋るのはもう少し後回しにしなくてはいけないからな』


 全く返答をしてこなかったテトもやらないといけない何かをしていたのだから何も聞き出したりしないけど危険で全く手を伸ばしてこなかった死霊魔法を今回は上手く活用出来たらいいな…とは思っている。ガドマはそれを見込んで色々と見繕ってくれた訳だし目に見える形で返したいし…


「ジェバルさーん?オルフィットさんが呼んでますよ!」


「ごめん、考え事してた。何て言ってた?」


「途中から話に入らないで天井見上げていると思ったらやっぱりですか…ジェバルさんは魔法に関して全く問題はないと思いますが一応魔導書の予備ページです。好きなように使っちゃってください」


「これ確か、結構な値段だった気がするんだけど大丈夫なの?」


「予備ページなんて普通使う人の方が少ないんですよ、ただ魔力の制限が無く保存できるっていうのが値段を上げている原因ですし、そういうのは教授が勝手に集めたコレクションですが好きに使ってくれと了承を得たので遠慮せず」


 オルフィットから渡された計八枚の真っ白の紙切れを貰ったがルウェーと大皿に盛られた料理を食べているポトッル教授に視線を向けると好きに使っちゃってねー、と気の抜けた返事が返って来たが以前気になって買おうとしたら金貨数千万の値札見てぼったくり過ぎて買う気が失せた奴だ…これが八枚も手元にあるのはとんでもなく凄いのだ。


「もうそろそろすると先程言った通り賢者の石との契約が始まります。最終確認ですが私達は九人で挑みますので余程の事じゃない限りは少数で行動はしませんので……」


 オルフィットは手元の時計を見てまだ決めていなかった諸々を早急に片づけて店を後にして人通りの多い通りを避けて争奪戦の開始を待っていた。



『数多くの戦士よ、石に見合う存在として認められ最後に残った者がこの世にどんな傷を刻まれるか心から楽しみにしている』


 日が丁度真上に来た頃だっただろうか、違和感なく他人の魔力が入ったのは驚いたが賢者の石と契約をした商業国家にいる全員に聞こえたであろう魔力に乗った声は誰よりもこの世に興味を持たない退屈そうな声だった。弟子とも言えるイフラー・キージェストが乱闘の開始を宣言した直後【宝物庫】に入れた筈のあの小石が手元に握られていた。その小石でありながらも藍色に輝く石が勝手に大量の魔力を吸い取り始める。


「ジェバル!この場からすぐに逃げるぞ!」


 石が魔力を吸い取られた直後勝手に【鑑定】が発動したのと周りを見ていたルウェーが自分に声を掛けるのが同時だった。頭の中で一気に何かが流れ込んで反応が遅れたのを感じ取ってくれたのか影にいたウェールがすぐに自分を抱えてその場から速やかに移動して都市部から離れるため屋根の上を飛び歩いてくれた。


「主、大丈夫ですか?」


「都市部にいるとすぐに敵がここに集まり始める、このまま森林地帯に移動してくれ…」


 激しい頭痛が襲ってくるがそれよりも現状の事を伝えなければ一瞬で争奪戦にまともに戦う事すらできなくなってしまう、それだけは絶対に駄目だ。一旦この場から離れなければ…早々こんな事になるなんて想像したくなかったが既に争奪戦は始まっているから逃げることがもうできない。


 勝手に【鑑定】されて出てきた詳細と手に握ってある藍色の賢者の石を睨みながら先頭を走ってくれているグリエさんとルウェーに感謝をしながら激戦区となるであろう都市部を後にした。開始早々申し訳ないが、逃走時の専門家…というのもあれだが隠密と索敵に分がある仲間がいるので後ろは彼に任せて今は頭に入って来た【叡智】をなるべく早く使い方を覚えなくては…

藍色の賢者の石

 割り振られた挑戦者との誓約を結んだ後、魔力を必要としない【叡智】を誓約した存在に付与する。誓約を結んだ者に最大限の『忠義』を授ける。


【叡智】:魔力を殆ど必要とせず賢者の石を媒体とした魔法を発現することが可能、連続して同じ魔法を繰り返すと洗礼されて他の魔法に補助が付く。また半永久的に魔力を生成し続ける。


『忠義』:誓約者に適応した【叡智】の定着、指定した魔法や物に『物理特化』の効果を付与、十分間の限定的魔力の代償に伴って身体能力の向上の恩恵を与える。

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