水天一碧に飾れ、幾万天の星々 其の二十四
近づいてきた悪食を自分が動きやすいように、そしてこの先の布石の為だと頭の中で認識しながら段々と真っ白に変色し始めた変光星を握り悪食を吹き飛ばす。後ろの方でも魔法で、自身の剣で迫り来る悪食を打ち倒しているからあっちはあっちで何とかできるだろうな
数体の悪食を動く源であろう核を掠める寸前まで叩きつけ油を振り撒き【超煌弾】をその場に置き土産として置きすぐに魔力感知である程度固まっている悪食の居場所を把握して次のポイントに移る。
「これ以上【起爆】を使うと自分の手が焼けるな…」
いつも以上に力が入る状況になると変光星に入れ込む魔力の量も間違えてしまう、その度に自分の手を守る為に【氷結世界】で防いでいるのだがあんまり効果がない気がするのでこれ以上の対処として水で冷やすとかの方が良かったりするのか?だけど〔秘華の炎導〕に注ぎ込んで恩恵として変換すると強化魔法が掛かるのだが逆に体が動きに追いつかなくなって建物にぶち当たるので少量を〔秘華の炎導〕に入れて様子見をする。
あれだけ遠いと感じていた【血の権力者】が段々と近くなっていきそれに比例して寄せ付けない為に数多の悪食が波のように聳え立っていた。建物と建物の間を飛ぼうとジャンプするのだが丁度大通りを半分に差し掛かった所を真横から強烈な痛みが走る。
「痛ってぇ!!そんなに寄り道させたいのかよっ!」
気配を感じさせずに横腹をねじ込むように飛び込んだ悪食が自分の体をくの字に曲げられ激痛が走るがこんなのに構っていられっか、こっちは色々と準備があるんだ。邪魔するなら手伝いでもしてくれよな!風魔法で体勢を無理矢理戻して悪食を変光星で突き刺すと熱々のパンにバターを落としたように刺した部分がドロッと血で溢れるがここで解体ショーなんて開いてられっか、すぐに変光星を抜いてフルスウィングで悪食を吹き飛ばして地面に叩きつけて爆発させる。
このまま押し込んでしまえ!とでも言っていそうな悪食達は言葉通りに自分に押し寄せてくるが巨大化した赤黒い竜が連続して噛みつき跡形もなく食い荒らすと後ろに消えていった。
「自分から攻撃を受けるなとか言っておきながら横腹に突進を食らって大丈夫か?」
「横腹が激痛すぎて現在涙目なんだけど体温というか変光星の熱が高いせいで涙が一瞬で蒸発するから泣いていたとしてルウェーに証明できない」
「……そうか、アウェルはシグマリと一緒に後ろを確認をしながらこっちに来ているから安心して集中してくれ」
話している途中にも頭上を飛び交う悪食の様子を窺い深呼吸を合間に入れ込む。ゆっくりと深呼吸を済ませると同じく話が終わると一斉に四方から悪食が襲い掛かるが変光星から生み出された【超煌弾】が手の届く範囲で数回キラリと輝き爆発するが覆い被さるような薄い膜が自分とルウェーを守る。
爆発を守るシェルターの役割を果たしてくれた【淵明闘竜】に心から感謝をしつつ膜が竜の姿に戻ると同時に建物の間を駆ける。【舞い踊る火粉】などのお陰もあって即座に身動きができるのはやっぱり機動力を確保するには十分過ぎる物だな
地面に埋まって隠れて好機を狙っている奴や建物の影に隠れるとか色々と人間味を感じるような悪食が【血の権力者】に猛スピードで向かっている自分に奇襲を仕掛けてくるがそんなことを物動じせずに反撃を繰り返して進み続ける。
そして、大量に押し寄せてきた悪食を建物込みで吹き飛ばして自身が向く一直線に【血の権力者】を捉えて一歩を踏み込む天井に【超煌弾】を置き爆風を背後に今以上の加速を行い、背中がジリジリと熱を帯びていくのを感じながら極限の環境の中居合の姿勢を取り蜘蛛の巣のように張り巡らされている血の糸を蒸発させながら力強く変光星を引き抜く。
そして、その場に残るのは一閃。
血を膨張させ沸騰させるほどの熱線が血肉を次々と焼き切りそれまであった五本の首の内三本を断ち斬り地に堕とす。
「―――――【熱華】ァアア!!!!」
とんでもない速さで、勢いで放たれた一閃は止まる勢いを知らず体に掛かる力がとんでもない事になったが取り巻きの悪食をやっとのことで蹴散らして近づくことができた【血の権力者】とは反対方向に吹き飛んでいった。
もうあと一本をギリギリの所で逃してしまったのをとても後悔しながら頭の上をスレスレに過ぎ去る建物に変光星を引っ掛けながら遅延を働かせるのに必死になるのだが一連の動作は満足できる手応えだった。
だが…
「待って?!変光星の熱が高すぎて建物が溶けてる!!?ヤバババ…!!」
事後処理が出来ずに大怪我するのは今後身動きができないからとても困る…!信じられない程の熱を帯びている変光星は建物を表面を炙られてチーズがトロリ…と溶けるあの現象せいで止めようとしても止められない手につけられない所まで深刻化してしまっていた。
風魔法で進む方向とは別に力を向けているというのに止まらないとかどうなってるんだよ!ここで建物と接触事故して大怪我したらどうする?回復魔法が使えないしこんな遠くまで離れているからすぐに誰か来てくれるとは限らない
「ぬおぉぉぉぉ!!こうなったら大怪我覚悟で〔秘華の炎導〕に全部魔力をぉ!」
〔秘華の炎導〕に神経を注いで変光星の魔力を流し込むと少しずつ変光星の火の勢いが弱まっていくがそれに比例して〔秘華の炎導〕が身体強化を施し腕に力が入りやっとのことで留まることができた。
焦りで冷や汗ダラダラだがそこを炎が体を覆い始めて擦り傷を癒していった。
綺麗に決まったと思っていた攻撃の後がこんなんじゃ一時お蔵入りは確定だが…〔秘華の炎導〕が造られた後から変光星との相性を考えられてる所もあるので普通じゃ考えられない動きを難なく可能にしてしまうから一回でもいいからどこまでが限界だか知りたかったからいい機会だった。
変光星は体の影響が出てくるせいで【起爆】を制限しているのだがもしも制限なく【起爆】を使い〔秘華の炎導〕を使って今みたいな動きが出来たらギリギリの所で届かなかった【血の権力者】の首を断ち切れた…
「死ぬとこだった…これは開けた場所限定で扱った方がいいけど決まった後が問題点が沢山あるからそこは色々と考えるとして…」
そんなタラレバを言ってる場合ではないのだ、未熟故変光星での加速をうまく制御ができなかったとはいえここまで【血の権力者】との距離が離れてしまった事もありすぐに戦闘に復帰できる訳でもない。転移魔法の魔導書があればいいのだが生憎持っていないので戦いの場に戻るのなら走って戻るのが吉、その理由として〔秘華の炎導〕に変光星に込められていたありったけの火という魔力が入れ込まれているのだ。
そして〔秘華の炎導〕は火を求める代わりに恩恵を与えるのでこれから仲間の元へ【血の権力者】を殴りに行く為に全ベットで火を捧げていると思った以上の恩恵を恵んでくれている。深呼吸を置いて一歩踏み飛ぶだけで幾つも建物を軽々と飛び越えることができた
「これでも点のようにしか【血の権力者】が見えないってどこまで吹っ飛んでんだか…速攻で戻りますか」
ポツリと溢した言葉よりも早くその場を駆ける…あの攻撃の後【血の権力者】がどんな動きをするか焦燥を抱きながら…
◆
血飛沫が宙を舞い、身動きを封じ込め【血の権力者】に利があるような盤面が続いていた中で半壊や崩壊はしてはいないがギリギリ原型を保っている建物や自身の魔法を駆使して切り抜けていた所誰が予想していただろう、自分と同じように炎を纏いながら自分でも目で追うのがやっとのとんでもない速さで空を駆ける主の姿が―――――
「―――――【熱華】ァアア!!!!」
声がその場にいた我々が主、ジェバル・ユーストだと気づくのに時間は掛からなかった、それは傍観していた『お星様』だけでもなく【血の権力者】もだった。それまで威張るように嘲笑うように『お星様』を見下していたのを驚嘆に塗り替えるような物だった。
一直線に延びる真っ白な光が過ぎ去り三本の首が地面に落ちていったのに合わせるように私は建物の壁を蹴って主のように素早く…体を一時的に【金星】に書き換え針巡っていた血の糸を瞬時に飛んで動きが止まっていた【血の権力者】の元に飛ぶ。
「主が残したチャンス…!」
「さっさと喰らい尽くされろ…!」
同じように考えていたのだろうか同じ首に攻撃の的を絞っていたルウェーが魔剣を構えて差し込もうとするのが攻撃をする直前で把握できた。
「【太陽】!」
「【暗殺者の一刺】!」
それまで表面上だった熱が一気に暴発して熱波が辺りに撒き散らすがその一瞬の火力を『燦澹』に付与し横に薙ぎ切り後押しするようにルウェーが投擲した赤黒い竜【淵明闘竜】が【血の権力者】の首を穿つ一撃を放ち首の皮一枚で繋ぎ続けていた首を斬り、穿ち残る一本首になった。三つの首が地面にぶつかった衝撃が伝わっている中でまたもう一本の首が落下している時だった。
『血縛則ゥゥァアア【滅散調】!!』
【血の権力者】の怒号が鳴り響き次の攻撃に動こうとしていた私とルウェーだったがその前に違和感というよりもその時は欠落感を感じていた。それは…魔力が使えなくなったのだ。
それに気づいた時には魔力をすぐに生み出してこの場からルウェーを連れて撤退しようと試みるのだがその考えも一瞬にして打ち砕かれるが、まだ手はある。
改めまして、新年あけましておめでとうございます。これからも引き続き拙作をよろしくお願いします。
【熱華】:変光星が造られた時からジェバルが一番効率的に使える方法はどんな魔法なのか…死霊王との一戦を終え考え抜いた末に生み出したジェバルが創った二個目のオリジナル魔法。一個目?得意分野って奴よ
一般の方がこの技を使うならまずは建物を溶かすぐらいの火を出せる【炎獄】、または精霊魔法【炎天の越烈】を使用できるようにし鉱人族の手による付与魔法で武器の耐熱性面をクリアする。
他にも色々と準備工程が多い上多種族との交流、人脈がないとそもそも成り立たないのが初めのハードルを上げている。




