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ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
水天一碧の広大な場を駆け巡る
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水天一碧に飾れ、幾万天の星々 其の二十三

もう年末ってマジすか?

 とても面倒で仕方ない、これだけで今の状況を表現できる自信がある。魔力感知でギリギリ把握できる範囲にルウェーがいたのでうまい具合に合流できないかと思っていたところ一斉に攻撃を振り掛けられていたのでアウェルとシグマリと置いて突っ走って新星片手に斬り刻んだのだがその場で接合してきたのだ。


「そんな軽い気分で臨める状況ではないことは目に見えて分かっていることだと思うのだがな!」


 ルウェーはさっきからこの調子だ、そんなに怒っているんだったら【血の権力者(サンドバッグ)】で八つ当たりして貰った方がとてもありがたいのだが…そう簡単な奴じゃないからな…うまく言い包めない。


『邪魔だ邪魔だ、邪魔ダァ!!鬱陶しいわ【血解(チカイ)】』


 そんな冗談はさておき、今現状真上で暴れ回っている【血の権力者】が小型の悪食を吐き出すという少し手段を変えてきた為本体の首を落とす順序立てとしてカウンター狙いで動いていたのだが小手先を使うような動きをされてしまいどうしようか迷っているところだ。急いで雨のように…いや、表現が優しいな槍のように悪食が自ら自爆して地面を抉りながら降るという奇行に走り始めたのですぐにルウェーを引っ張って建物の中に避難する。


「普通、元は自分の体だってのに手段を選ばない所はやっぱり【血の権力者】って感じだよなぁ…」


「おい、そろそろ掴んでいる手を離せ!化け物みたいな握力している癖に無自覚だとしてもおかしい!」


「そういうお前も何事もなく抵抗している時点でルウェーも回り回って化け物だって証言しているだけだってのに……片腕、なくても大丈夫か?」


「あの時も言ったが自分が最善と決めて動いた結果がこれだ、お前に心配される義理もないし何なら今取り返している真っ最中だからな」


 ポカリと失くなってしまっている左腕の部分を見て言ったルウェーへの心配はただの杞憂だった、というかルウェーの後ろでこっちを睨み続けている赤黒い竜…確か【淵明闘竜】だ。そいつが今半分の動きしかできないルウェーの半分を引き受けているんだろうけど…よく魔力を保ているけど何かしらの魔法道具があったりするのか?色々と気になることが多いがそれは全部終わってからだ。


 建物から身を隠しながら【血の権力者】を覗いてみたのだが体を悪食に変換しては爆ぜて分裂して爆ぜるの繰り返しを図っているせいで絶対に寄せ付けないって言っているのは分かるのだが…やってることが大規模すぎて半壊状態の建物を虱潰しに壊している為その爆発が建物を襲うのはすぐかもしれないという訳だ。


「理不尽すぎるな…魔法で相殺できたとしても後の攻撃を防げる気がこれっぽっちもない。ウェールが何かしら言ってなかったか?」


「焼き尽くすとは言っていたが…」


「成る程、“焼き尽くす”ね…」


 ウェールが言い残した言葉から自然と【宝物庫】に右手が伸ばして変光星を掴んで【起爆】を促す。流れ作業のように変光星が使用できる状態に持ってきたが左手で持っている新星をゆっくりと【宝物庫】の中に戻す。すぐに使うわけでもないのにずっと手持ちに置いておく考え方はしなくてよかったと言うわけだ…頭を冷やさないとな、体は変光星のせいで熱いけど


 少し外で鳴り響いていた轟音が落ち着いてきた所で先程までいた【血の権力者】を確認しようと体を動かすと突如宙を彷徨っていた悪食とバッタリ目線が合った。このたまたま外出した先で友達と偶然出会ってしまった時と同じような感覚は何なんだ…


「おい、急に攻撃するなんて…」


「阿呆!今出てくるな!」


 構わず飛び込んでくる悪食を変光星で叩き斬る事には成功できたのだがそれに反応して近くまで寄ってくれたのかルウェーが体を乗り上げてきたがそれは不味い。さっきの衝撃だけでこっちの居場所が割れたみたいで建物の影からワラワラと悪食が現れた。


 クソ、さっきのが切っ掛けでこんな状況になるとは普通思わないだろ!もう一度ルウェーを建物の中に入れ込んだとしても特攻してくる悪食の爆発に巻き込まれるのは確実…それに奥の方で変な挙動をしている【血の権力者(八首の蛇)】がこっちに来る事だってあるかもしれない。


「ルウェー!死ぬ気でこのまま【血の権力者】まで殴り込みに行くぞ!」


「何でそうなるんだ!」


 しょうがないだろ、この夥しい量の悪食達がこっちに飛び込んできているのが見えないのか?このまま隠れられる気がしないからな!変光星を再度重ねるように【起爆】を促して〔秘華の炎導〕ですぐに足りない分の魔力を補い【舞い踊る火粉】を即使用して地を踏み締めて高らかに飛び跳ねる。


 建物と衝突する前に変光星をバット代わりにして振り回した際に当たった悪食を【起爆】で破裂して強制的に方向転換をして丁度いい建物の屋上に足をつけるとコツンと体に小石がぶつかり屋上に落ちる手前でルウェーと入れ替わった。


「はぁ…お前と一緒にいると碌な事にならん」


「巻き込まれるルウェーも実質碌でもないのでは…?」


 軽い冗談で言ったのに物凄い睨みようで悲しくなる、というか碌な事になっていないのは自分が一番言いたいことでもある。そんな中でも目線の先で漂い続けていた悪食達がこちらの様子を窺いながらもすぐにでも攻撃に移れるように準備しているのが丸分かりだ。というかこっちに攻撃が来ないし遠くで魔力が結構飛び交っているのが確認できたし肉眼でもチカチカと火の玉が【血の権力者】の周りを物凄い勢いで動いているからそれは多分ウェールだろうな


「ここからどう動くか策はあったりするのか?ジェバルはいつも通り無計画だろうがその場凌ぎだといつかヘマが出るぞ」


「かと言っても……いや、一つ策を思いついた」


「追い付いて早々だが…それは、どういう奴なんだ?ジェバル」


 真上で動いている数匹の悪食の動きを見ながら考えついた打開策があるとルウェーに向けて言うと屋上にアウェルとシグマリが精霊魔法で生み出したであろう架け橋を登ってきた。ポツリと溢した声に反応したアウェルは自分に近寄って両肩を掴み頭を下げる。


「いや、これは…少し」


「ここの状況を一変するような案があるんだろ?何でもいいんだ…!私はフィレグを助けたいんだ」


「聞いてからやっぱ駄目とか言うなよ?」


 アウェルが頷いて同意を得て自分が考えた()()()()のような作戦を伝えるとその場にいた三人はそれぞれの反応をしていた。あまりにも現実的ではなく呆気に取られている者や逆におジェバルらしいと笑う者と本当に行けるのではないかと覚悟を決める者と様々で不安だった。


「そのジェバルの作戦がうまくいけば…」


「あの【血の権力者(クソ野郎)】に決定的な一撃を与えれるのは確実だな」


「後で回ってくるツケは私の方から言っておくから気にしなくていい」


 考えた作戦にアウェルが一番乗るか乗らないかで話が変わってくる所だったがご本人の許可は取れた。とすると後はそれを実行するために動くだけになる、【宝物庫】から新星を取り出して背中に括り付けて固定する。


「今の作戦になると私は【血の権力者】に対抗する手段がないみたいなので精霊さん達と一緒に皆さんの支援魔法を使うのでジェバルさん達は気にせず戦ってください!ジェバルさん頑張ってくださいよ?」


「自分で言ったことだからな、失敗は許されないから頑張るよ」


 シグマリが後方支援に回ることを言いに来てくれたが十分シグマリも精霊魔法の応用が強いからそのまま攻撃として動けると思うがそこについて何か言っても何もない気がするのでスルーしておく。


「ジェバル…頼むぞ」


「ん、それじゃあ各々健闘を祈る」


 変光星を【爆発型】のままにし【起爆】を促し続けて準備をし続けながら自分が号令を掛けると一斉に宙で泳ぎ続けていた悪食が一目散に飛びついてくる、そのままジャンプして熱し斬りながら噛みついて来る悪食の口に変光星を入れ込み【起爆】して破裂させ向かい側にあった建物に飛び移る。


 破裂した同胞を見ても尚飛び込みながら攻撃に移る悪食を見て狂気すら感じるが近づく悪食に向かって創造魔法で創り上げた“油”を振り撒く。ギリギリの所を避けて穴が開いた場所に【超煌弾】を数発落としすぐにその場から離れると先程までいた建物が爆音を立てて崩れていった。



「かかってこい、全員もれなく爆発させてお前ら一緒に()()にしてやる」




















 主が目の前で暴れている【血の権力者】の元に来る為に動き始めたのだろう、魔力感知でもなく、体で自然と感じられた。しかし、ここまで来るにしても最短でもかなりの時間が掛かりそうだが主ならすぐに来てくれるだろう。


 感情に浸っているとそれを邪魔するように【血の権力者】から無数の魔法を模倣したような血がとんでもない速度で体を斬り刻もうとしてくれるが【火星】の効果が続く今自分に近づくと音を立てて蒸発していきこちらに何の攻撃もなく終わり風魔法で推進力を得て次に落とす四本目の首に狙いを定めて飛び込む。


『気ニ食わんぞ…その態度ォ!すぐに消し去ってくれるッ【禍血(カチ)】!』


「その攻撃はルウェー君が警戒しとけって言ってた奴【朱光】!」


 息吹を吐くような素振りを見せていた為それに対する対処をしていたのだがうまく騙されて攻撃を受けてしまう気がしたが間を縫ってグリエ殿が攻撃を相殺してくれたお陰で何事もなかったが…ルウェー殿が警戒しておけと言っていた?聞いていないが…現状どの攻撃も致命傷になる可能性が高い。これくらいの攻撃を対処できずとして主に顔向けができない。


「ありがとうございます」


「気にしないで…あれ当たるとウェール君が言ってたみたいに体中の血液が変な挙動をするし治癒魔法が効かないって言うから」


『知った所で気にすることも無かろうに!』


 急に【血の権力者】が血を空中にばら撒き始めその場で停滞して動きもしなかった。何をしてくる?当たり前だが魔力を帯びているからそこから魔法を出すにしてはかなり少ない魔力…!


「グリエ殿!」


 最低限の魔力で出来る魔法は数少ないが無数に張り巡らされた状況下ですることとすれば点と点を結び合うようにしてただ血を動かす事が可能、ただ血なら何も気にすることはないが地に関しては【血の権力者】には武がある。素早くグリエ殿の元に動こうとするが…


「【氷結世界】…グリエ、気をつけて結構面倒だからって気を抜くと致命傷になりかねないしウェールさんの邪魔になると【血の権力者】をここで足止めできなくなる」


マディー殿の【氷結世界】で一時的に固まった血液がグリエ殿の首元で制止していた。

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