表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この滅びゆく世界の車窓から  作者: ふっしー
第一章 幼馴染とAI少女
4/12

天賦の才

 アユラの提案により始まった、デバイス修復競争。


「あ、魔力回路が一部割れてる!」

「もう破損個所を見つけたのか?」


 開始してまだ3分しか経過していないというのに、ルキは故障個所を発見していた。

 そのとき、アユラはまだデバイスを分解し終えたばかりであった。


「親方は? もしかしてまだなの?」

「……うっせぇ! 競争は修復完了までだからな!」


 さらにその10分後。


「修復終わり!」

「……見せてみな」


 アユラの方は、ようやく破損個所を発見した段階だ。

 もちろん、これでも尋常ではなく速いスピードだ。


「修復には何を使った?」

「魔力回路の欠損部分は、ガラスを溶かして繋いだよ。それと内部の金属が一部錆びていたから、部品交換しておいた。あと全体的に汚れていたから軽く研磨して光沢も出してみたよ」

「使ったガラスの色は?」

「赤。魔力の出力が高すぎたことが故障の原因だと思うから、少しだけ抵抗値を上げようと思って」

「……なるほどね」


 ルキの施した修復は完璧だった。

 試しに魔力石を投入してみたが、新品の時以上の出力を発揮している。


「どうかな?」

「ぐうの音も出ない。さすがは我が弟子」


 ここまで完璧だと、皮肉すら見つからない。


「親方はどこまで出来たの?」

「まだ故障箇所を見つけただけだ」

「僕にも見せてよ」

「ほらよ」

「うーん……あ!」

「もう判ったのか!?」

「うん!」


 アユラは先端政府公認の魔巧技師(メイジニア)だ。アイレスギアで最も優れた魔巧技師といっても過言じゃない。

 そんなアユラが苦労して見つけた故障箇所を、ルキはわずか数秒で見つけてしまった。

 

「ちょっと見えづらいけど、回路内のガラスに小さなヒビが入っている。ここから魔力が漏出して、思うように出力できなかったんだと思う」

「……正解」

 

 回路中の小さな亀裂だなんて、普通は見えないし気づけない。

 当然こんなに早く見つけることなんて人間業ではない。


「これなら熱ごてを当てて、ガラスを溶かすだけで大丈夫だね。僕がやっておくよ!」


 ガラスを溶かすだけというが、決して簡単な作業ではない。

 亀裂は小さいし、熱ごてを他の部分に当てるわけにもいかないからだ。

 しかしルキは手際よく熱ごてを操り、細かい作業の連続だというのに、あっという間に修復を終えてしまった。


「親方、競争は僕の勝ちだよね?」

「参った参った! お前さんには逆立ちしたって勝てないよ!」

「何言ってるの! 親方の教え方が上手だからだよ!」

 

 熱ごてとドライバーを握るルキの目は、期待で輝いている。


「判った判った、そんなキラキラした目でこっちを見るな。残りのデバイスも全部任せる」

「いいの!?」

「当然、動作チェックは私がする。いいね?」

「もちろん! やった! 他国のデバイスなんて滅多に見られないし、いい勉強になるよ! 親方はゆっくり休んでいてよ!」

「はいはい。私は懐中時計でも直しているから、終わったら言いな」


 アユラは天才魔巧技師である。

 そんなアユラが、唯一敵わないと思っているのが、弟子のルキだ。

 無論、魔巧技師としての実力を総合的に判断すれば、アユラの方に軍配が上がる。

 これまで築いてきたアユラの功績は、VIPクラスへの昇格を推薦されるほどのものだからだ。

 だがアユラは判っていた。自分は並みの天才であることを。

 真の天才とは、ルキのような天賦の才を持つ者を指す言葉だと。


(参ったね。教えることがなくなっちまったよ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ