第三話 災厄の守人
二人に対してジェイは、帝都で白い髪の女から助言を受けて〈寄波〉を発見し、こちらへ転移したことを説明した。
シャユは典型的じゃな、と評する。〈六番目〉の下につく導き手に違いない、と。
「その女のことを帝都じゅうの冒険者に聞いて回っても、誰一人知っている者はおらんじゃろうな。その剣もまた、第六によって作り出された物やもしれぬ」
「段階が進めば、その女と再び相見えることもあろう。やがてはその女の属する団体、ならびに〈六番目〉本人とも出会うはずだ」
「あんた方はその〈六番目〉と会ったことがあるのかい? どんなやつなんだ?」
「〈六番目〉は無数の顔を持つ。どれが本当の顔かは分からぬ、だが我らの主としての分体は、強大な力を持った魔法士だ。そう、我々もまた〈六番目〉に力を授かった者なのじゃ」
あんたらは一体何が目的なのか、とジェイは尋ねた。
「我々〈災厄の守人〉の目的は単純じゃよ――〈六番目〉の力を取り締まること。その力のために道を誤らぬように導くこと。〈六番目〉じたいは、己の欲のままに力を用いることに賛同しているのじゃがな」
ジェイは少しばかり黙考し、二つ質問がある、と言った。
「一つは、二人以上の人間が、〈六番目〉によって同じ力を授かることはあるのか、ってことさ。つまり例えばあんたらの場合、〈災厄の守人〉ってのの恩恵を受けられる、元となった人物が複数いるのかってことだ。そうじゃないなら、あんたらのうちどちらかが、災厄によって生み出された存在ってことなのかい?
もう一つは、〈六番目〉そのものと、それによって生み出された存在の違いってのは、どう見分けるのかってことだ。あんたらの頭目がそれだって、なぜ分かるんだい」
ニコラエがその彫刻じみた表情を崩すことなく回答する。
「一つ目の質問については、我々の知る限り、一人の人間だけだ。〈災厄の守人〉もまた一人の人物に授けられた力で、その者以外は〈六番目〉によって無から生み出された〈随伴者〉だ。それが誰かは今のところ、秘匿させてもらうがな。
二つ目については、これまで確認した事象すべてが六番目を頂点とした形をとるという例と、そうだな……対面すればすぐに分かる、としか言えぬな。貴公もいずれは、自らの力のあるじに見えることであろう。その際に思い知るはずだ。災厄に対して我々が、いかに矮小な存在であるかをな」
化け物じみた力を持つ吸血鬼がそう言うのだから、きっとそうなのだろう。
「そうだ、もう一つ質問させてくれないかい。〈六番目〉はいつから活動している? そして活動には地域差があるのかい?」
自分たちが知る限り、確認されたのは一年ほど前からだ、とニコラエが答えた。現在のところ王国の中央から東部にかけて活発だが、ジェイのように帝国人においても六番目の力を得た〈獲得者〉はいくらか発見されており、その大部分がカルドランドへ移動しているのだという。
「災厄の中でも特異的な存在であるのは言うまでもないじゃろう。しかし、やがてはこれまでの災厄と同じ結末を迎えるものと我らは推察しておるし、そうなるように動いておる。これまでの五つの災いはすべて、勇者が滅ぼしておるのじゃからな。
そしてすでに六番目の勇者は生まれておるよ。守人はその者と協力し、邪悪なる獲得者を討伐しようと動いておる。
最終的な目的はひとつ、災厄をこちらに送り込んでおる〈門〉を閉じること。それまで我らの見張りは終わらぬ」




