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余次元住まいのハザマ様! part3 室生家の日常   作者: 山桃
― 御影 編 ―

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惟光さんの特別講義

三時の紅茶をたしなみながら、惟光(これみつ)さんは静かに語り始めた。

「心を読まれないテクニックはお教えできるのですが、すぐに使いこなせるとは思っておりません」


「というのは、読まれないためには『思考を止める』のが一番よろしいのですが、そもそも人間は思考中毒で、考え事をやめられない生き物だからです」


「思考中毒……」


「ええ、全人類の大半がそうです。例外としまして、右脳のみで活動されている方などは論理的な思考をなさらないので、私にも読めませんでしたね。あとは、ぼんやりしている時のハザマ様も、まるで読めませんでした」


「…………」 私は絶句した。

(では、肝心のテクニックとは何だろう?)

そう心の中で疑問に思った、まさにその時だった。


「思考を中断したい場合、視線を目頭付近と鼻の付け根あたりに集中すると、思考できなくなります。あとは後頭部、盆の窪(ぼんのくぼ)あたりを意識するのも良いですよ」


惟光さんは、私の心を読んだかのように続けて言う。

「やり方はわかっても、これがなかなか……難しいのです」


言われた通り、私も視線を鼻の付け根に集中してみるが、一分として続かない。

「難しいですねぇ……」


「ええ。私が二十数年かけて会得したものを、初音様がすぐに出来るとは思っておりません。気長に、焦らずに……」


その後、惟光さんが一時はお役目候補でもあったことや、いかにしてこの屋敷の執事になったのかなどを聞かせてもらった。


穏やかな物腰の裏に垣間見える苦労を知り、惟光さんの人柄への理解がより一層深まったことで、私はとても充実した時間を過ごさせてもらった。

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