「霊能者だけど質問ある?」
自宅から本家に戻ると、縁側でハザマ様が目を瞑って瞑想をしていた。 何かを探っているようにも見えたが、体外離脱中だったのかもしれない。
「ハザマがあんなにガラッと変わったのは、初音が関係してるの?」
私はあの複雑な事情を話す気がなく、当たり障りなく答えた。
「ハザマ様は前からああいうご性格だったのです。今まで本当の姿を隠していただけで」
「なーんか、初音は隠してるよね」
良かった……。ハザマ様や律様のように、心を読むことがない御影様にはホッとする。
御影様とお昼の御相伴にあずかりながら、他愛無い話をする。
「今日さ、インターネット経由で結界を通り抜けて、変な霊が入って来た話したじゃん?」
「ええ」
「あれ、ハザマのせいでさ。奴が匿名掲示板のオカルト板に『霊能者だけど質問ある?』ってスレッド立ててやんの」
「……っぷ!?」
私はもう少しで吹き出しそうになった。
「投稿された相談の大半は、霊とは関係ないどうでもいいものだったんだ。でも、心霊写真がアップロードされててさ。それがいわゆる『本物』だった訳よ。クリックしたらネット経由して入り込んできたんだ」
「いや、まぁ勉強にはなったが、ハザマの奴、何やってくれちゃってんの?」
と御影様は呆れたように文句を言った。
「今まで福虫として奥に隠された存在で、目立たずに生きて来られましたし……。匿名で活躍できるネットは、都合良く行動できるからでしょうねぇ」
――なまじ能力も容姿も恵まれながら、表に出られないフラストレーションが、彼を唯一の趣味であるエゴサーチに走らせるのだと気づきながら――私がそう言うと、後ろから声がした。
「なまじっか顔が良い者が表に出ると、女難に遭うからな」 声の主はハザマ様だった。
「初音、何故、昼食に呼んでくれない? 私が仲間外れになっているじゃないか」
「えっと、瞑想か体外離脱中なのかと思いまして」
御影様は、呆れた顔をしながら(コイツはほぼ外に出ないから、女性関係なんて皆無だろう)と踏んだらしくマウントを取りにいく。
「自信家だな。実際に女性トラブルでもおありかな?」
ハザマ様は自慢げに言い放った。
「私の前世は、痴情のもつれで女性に刺されて死んだ色男だ。なっ? 初音」
――私と二人しか知らない秘密を仄めかしつつ、マウント返しをする作戦か……。
「えぇ、そうでしたね。嘘は言っていませんね。今度こそ大人しくして、愛する女性は一人にしておいてくださいね」と、私は思いっきり釘を刺した。




