屋敷神様と、無私欲の光
美麗さんのお土産であった宝飾細工は、お清めを終えて無事に手元へ戻ってきた。
色々な騒動や学びを経て、すっかり思い出深い宝物になっている。 そんな折、ネットのオカルト板を覗いたらしい律様が、本家へ遊びにやって来た。
ハザマ様、律様、御影様……そして私の四人で客室に集まり、お茶を飲みながら談笑する。
「なんか大変だったようだったね〜。オカルト板の例のスレで顛末を読んだよ。封印のくだりが面白かった」
のんきに笑う律様に対し、御影様はため息をついた。
「部外者は楽しめたかもしれないが、こっちは大変だったんだ。どう処理するか、陸とめっちゃ話し合った」
ハザマ様も眉を顰めて言う。
「一歩間違えば、初音が死ぬところだったからな」
それを聞いても、律様はケロッとしている。 「初音は屋敷神さまに気に入られているから大丈夫でしょ。あちらの世界って、こうなることも織り込み済みで設計して、僕らを動かすからさ」
それを聞き、私は以前から気になっていた湖西くんの言葉の真相を尋ねてみた。
「あの……律様のお話を湖西くんから伝え聞いたんですけど、『美麗さんと私がこの家に入ると屋敷神様が騒ぐ』とは、どういう意味だったんですか?」
律様は「あー、あれね」と思い出しながら語り始めた。
「以前、初音と美麗嬢と湖西くんがこの屋敷に来た時にさ。家自体が震えだして、声が聞こえてきたんだよ。『この輩、我が神垣の内に留むべき者なり』……ってね」
ハザマ様が、屋敷神の意思を噛み砕いて教えてくれる。
「美麗は、この伏魔殿と呼ばれる屋敷に、新しい風を吹かせるために必要なんだそうだ。あいつは魂の種類が女王様だからな」
「へえー、美麗さん凄い。じゃあ、私の役割は〜?」
軽い気持ちで口にすると、律様がすかさず答えた。
「初音は、屋敷神さまに必要な栄養素を出す係」
私は目を丸くした。
「なに? なんですか栄養素って。私はローヤルゼリーでも出すんですか?」
御影様は「ミツバチじゃねーんだから」と、苦笑して首を振る。「人がさ、無私欲・無思考になる時に、白い光を発するんだ。自分の得にもならないのに、思わず他人のために行動してしまう時ってあるじゃん? 神様にはその一番純粋で良いエネルギーが必要で、初音はその光を出す事が多いんだよ」
ハザマ様も具体例を出してくれた。
「この間のイカの怪異騒ぎ。あの時に、イカが元の場所に帰れるように祈っただろ? 屋敷神が名前を教えてくれたのは、あの祈りが無私欲だったからだ」
「そうなんですか……。てっきり、体から何かの分泌液でも出さないといけないのかと思いました」
私がホッとして呟くと、ハザマ様が意地悪く微笑む
「あ〜、初音は なめこ だからな。触ると、ぬめぬめと……」
御影様が激怒し
「ハザマッ! 貴様の守護霊、木っ端微塵にしてやる!!」
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……屋敷神様が、このお二人に栄養分を期待されないの、なんだかわかるわ……
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