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余次元住まいのハザマ様! part3 室生家の日常   作者: 山桃
― 初音 編 ―

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持てるものの無自覚な凶器

その後。ハザマ様のお部屋で一緒に昼食を食べながら、彼は事件に至るまでの裏側を話してくれた。


「御影(みかげ)が陸(りく)と結界を張る準備に行ったんだ。出かける前に、奴から頼まれていたんだよ。小夏を見張って初音を守るように、とな」


「御影様は、誰が指輪を盗んだかご存知だったんですね?」


「ああ。監視してたら、お前ら二人とも『草むしり検定でも受けるのか?』というぐらい必死に草をむしってただろ? 部屋から眺めていたら、小夏が水仙をむしりだして……すぐに止めようかと思ったんだ。しかし、決定的瞬間がないと証拠にならないから、機会を窺っていたんだ」


(御影様、裏で私のことを心配してくれてたんだ。嬉しい……) 私はネックレスにした指輪をぎゅっと握りしめた。心がぽかぽかと温かくなる。


その様子を見ていたハザマ様が、少し真面目な顔つきになった。

「前々から言おうと思ってたが、初音は『自分が妬まれやすいこと』を自覚しておいた方がいいぞ。御影と婚約してるとかそういうことではなくて……愛されている者が無自覚に持つ自信への嫉妬、というか」

彼は少し間を置いて、静かに続けた。


「ごく普通の人間なら、見ているとわかるんだよ。『ああ、この子は両親や周りから愛されていて、ゆったりとした余裕があるな』……と伝わってくる」


「そうなんですか?」


ハザマ様は呆れたように息を吐き出した。

「…………幸せな奴だなぁ。世間の人間は、もっといろんなものを渇望しているもんなんだ。……当初、なぜ使用人がお前に嫌味を言っていたかというと、お前がその『愛されて幸せそうな雰囲気』を纏っていたからだ」


私は箸を唇に当てて俯いた。

「……自分の境遇に感謝します」


「私でさえ、お前にイライラすることがある」


思いがけない言葉に、私は驚いて顔を上げた。

「私よりも沢山、いろんなものを持っているあなたでもですか?」


ハザマ様はひどく困ったような、切ない顔をして言った。

「初音が美麗(みれい)を連れてくる度に思ったよ。『あぁ、コイツは私が居なくても、他に代わりがいるから余裕なんだな。湖西や御影とかが愛してくれるから、こんな事ができるんだ』と。……それが、私が初音を諦めた理由だ」


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