↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余次元住まいのハザマ様! part3 室生家の日常   作者: 山桃
― 初音 編 ―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/35

硫黄のお風呂と婚約指輪

お祓いにいらっしゃる予定だった陸(りく)様は、不運にも足止めを食らってしまい、後日のご訪問となってしまった。


そして最悪なことに、御影(みかげ)様のお部屋にしっかりとしまってあったはずの宝飾細工は、何者かによってすでに開けられてしまっていた。


視えるお二人は、「『誰が?』と犯人探しをするのはナンセンスだ」と言う。ハザマ様が渋い顔で口を開いた。

「こういう中に封じられているモノは、外へ出たいために自ら画策して、周りの人間を操るから」


「でも、なぜこのお屋敷で解き放たれたんです? 別に他の場所……それこそ、ヨーロッパのままでも良かったのに」

私が素朴な疑問を口にすると、御影様がわかりやすい例えで教えてくれた。


「屋敷神にしても悪魔にしても、人間から拝まれたり崇拝されたりして『念の力』を集めることで大きくなるんだよ。……まぁ、アイドルと一緒かな。この室生の家には、そのシステムがキッチリ揃っているからだと思うぜ?」


ハザマ様も、隣で深く頷いている。 その時、ふと私の頭の中に、何かの思念がスッと差し込んできた。

「……そうすると、人間がいないと、神も悪魔も存在できない……?」


私の言葉を聞いた二人は、綺麗に声を揃えて言った。

「「ご名答」」


*****


その日のアルバイト中。庭の草むしりにいそしんだため、たっぷり汗をかいて土や埃もかぶってしまい、私は本家でお風呂を借りることになった。


離れの浴室へ行くと、ツンと硫黄の匂いがする。


湯船を見ると、硫黄成分の入浴剤が入っているらしい。 私は、首に鎖で提げている指輪が気になった。指輪はプラチナなので大丈夫だとは思いつつも、


(大事な指輪だから、曇ったら嫌だな。念のため外しておこう……)


そう思い、浴室の洗面台にハンカチを敷いて、そこに指輪を置いてから入浴する。


入浴後。服を着ようとふと洗面台を見ると、指輪がなくなっている! あんなに、大事な大事な指輪なのに!!


私は慌てて御影(みかげ)様の元へ駆け込み、


「大事な指輪が、お風呂に入っている間になくなっちゃったんです! ちゃんと洗面台に置いておいたのに……どうしよう」


と泣きついた。

御影様は「落ち着け。一緒に探してやるから」と言って、一緒に浴室へついて来てくれた。


浴室に入るなり、彼が匂いに気がつく。

「……硫黄の匂いがするが、初音が入れたのか?」


「まさか! 指輪はプラチナですけど、硫黄で色が変わるかもしれないから入浴剤なんて入れないですよ。だからわざわざ外したんです」


「なるほどな。多分、硫黄の入浴剤を入れた奴が犯人だな。初音が指輪を外すことを計算してやってんじゃね?」


その悪意に気づき、私は泣きそうになった。


「そんなことするなんて……酷い!!」


「…………」

御影様は少しの間、黙り込んでしまったが、やがて口を開く。


「なぁ、初音。新しいの買ってやるから、犯人探しはやめようぜ」


その言葉に私は驚き抗議した。


「なくなったから買えばいい、というものではないです! 婚約指輪は唯一のもので、初恋が二回ないのと一緒なんです。……わかりますか!?」


上手く言葉にならなかった。

婚約した瞬間の想いが詰まった唯一無二の象徴を奪われ、それを新しいのを買うことで済ませようとする……そのことに腹がたってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。