辿り着けない祓い師と解かれた封印
私は陸様に連絡をとり、あの宝飾細工を見てもらう日時を決めた。彼が本家に訪問する当日、テレビから不穏なニュースが流れてきた。
緊迫した面持ちのアナウンサーが、原稿を読み上げている。
「……続いて、各地の交通機関への影響です。今日午前七時ごろ、JR関西本線の沿線で土砂崩れが発生しました」
画面には、ヘリコプターから撮影された上空からの映像が映し出される。斜面の木々が根こそぎなぎ倒され、茶色い土砂が線路を完全に塞いでいた。画面の右上には『関西本線 土砂崩れで不通』という赤いテロップが点滅している。
「また、道路の状況です。同じく今日午前八時ごろ、高速道路の大阪から名古屋に向かう区間において、複数台の車が絡む大規模な玉突き事故が発生しました。現場の映像が入ってきました」
そして、陸様から短いメッセージが届いた。
『事故に巻き込まれたので、到着がかなり遅れます』
それを見たハザマ様と御影様は、顔を見合わせた。
「これは……妨害工作だな」
私が陸様にお祓いを頼んだせいで、事故に巻き込まれてしまったのだ……と、私が青ざめて震えていると、御影様が労わるように言ってくれた。
「別に珍しいことじゃないんだ。ヤバいもんを祓おうとすると、大抵、祓う側はトラブルに巻き込まれて現場に辿り着けない時がある。初音、お前は気にするな」
一方、ハザマ様は虚空の右上に視線を泳がせている。何かを探っているのだろうか。
「こんなもんが放たれてはヤバいな。だから封印してあったのに……。なぁ、屋敷内の人間によって、あの宝飾細工が開けられているぞ?」
私は、思わず声をあげた。
「誰が!?」
ハザマ様はひどく困ったような、苦い顔をした。
「使用人の一人だ。……美麗と同じく、操られている」




