伏魔殿と相変わらずの男たち
室生 初音: 地方の芸大生 三年生の後期のみ、
室生本家で世話係のアルバイトをしている。
ハザマ様 =室生 透青
室生家の巫覡をしている。
中の人は月島秀青で芸大の助手をしていた
御影 様 お役目様の内孫三人衆の内一人
霊的能力を持つ
惟光さんが、屋敷中のお手伝いさん達に御触れを出した。
「初音様はお役目候補のお一人になられたので、失礼なきようお接しください」
すると、使用人のリーダー(いわゆる女中頭)や古株のお手伝いさん達が次々と手のひらを返してきて、
「今までのご無礼を、どうか、どうかお許しくださいませ……!」
「今までの初音様への、あまりにも失礼な言葉の数々、何卒お許しください!」
と、私の前に来てはペコペコと謝るようになった。
一時期はすれ違いざまに、「あちらのお相手(性的なサービス)をすると、お給料が良いんでしょうね?」などと嫌味を言っていた人たちが、である。
それと同時に、なぜハザマ様が屋敷の人たちとは全く会話をしないのか、その理由が痛いほどわかってしまった。
*****
権力を手にすると人が変わってしまうことがあるというけれど、今の私にはわかる気がする。 権力は、いとも簡単に人を平伏させてしまうのだ。
しかし、そんな今の屋敷内で、全く態度が変わらない人たちもいた。
休憩時間にお茶を飲んでホッとしている時に、ハザマ様がお顔を出す。
「初音〜、まだPCに触れられないから、代わりにAmazunで避妊具を買ってくれ〜」
「ハザマ様。嘘をつかないでください。さっきオカルト板に復帰しているところを見ましたよ? カノジョの美麗さんに頼むか、ご自身で買ってくださいっ!」
「うう……私の購入履歴が清らかでなくなってしまう……」と言いながら、自室に戻っていく。
私の購入履歴はどうでもいいのか?この方は。呆れていると、今度は御影様が誘ってくる。
「初音〜、今日は寒いな。俺は別に寒くないけど、お前の手とか冷たそうだし、可哀想だから俺の布団で暖めてやっても良いんだぜ?」
相変わらずのツンデレである。敢えて冷静に返した。
「真昼間から乳繰り合うと、お屋敷の方達に良い印象を与えませんから……夜にお誘いください」
――現在、私は「お役目候補に掃除はさせられない」と掃除道具を持たせてもらえないため、お庭の木陰でこそこそと草むしりをしている。




