家神様の真名と、五人目の候補者
この物語は『お役目様! ーハザマ編ー』の続編となっており、人間関係はハザマ編を読んでいただけると、なお一層理解が深まります。
室生 初音: 地方の芸大生 三年生の後期のみ、
室生本家で世話係のアルバイトをしている。
ハザマ様 =室生 透青
室生家の巫覡をしている。
中の人は月島 秀青で芸大の助手をしていた
御影 様 お役目様の内孫三人衆の内一人
霊的能力を持つ
室生本家で、御影様のお世話係のアルバイトを始めて四ヶ月目……。
御影様はご自分でお部屋を掃除してしまうため、私が空いた時間にお屋敷の掃除をしていると、執事の惟光さんから声をかけられた。
「初音様。この間の怪異の件で、祈りを捧げていらっしゃいましたね?……ひょっとして家神様は、初音様に名前を教えてくださいましたか?」
「えぇ、お聞きいたしました。それが何か?」
惟光さんは、ひどく驚いた様子で尋ねてくる。
「家神様は、他には何と話されましたでしょうか?」
「うーんと、古い言葉だったので正しく覚えているか自信がないのですけれど……『うきことあらば、このなをとなへたてまつれ』と」
「…………」
正直に答えただけなのに、惟光さんは黙り込んでしまった。 何かまずいことでも言ってしまったのだろうか? と思案を巡らせていると、惟光さんは真剣な眼差しで口を開いた。
「私と、お約束をしていただきたいのです。……家神様の名は、決して他の人には漏らさないようにお願いいたします」
「そして、困ったことに……いえ、私共は全く困らないのですが、初音様はお役目候補になられました」
思わぬ宣告に、私もひどく驚き、
「はいぃい?」
と思わず、ドラマ『相棒』の右京さんみたいな受け答えをしてしまった。




