神下ろしの代償と次スレ立て
それから当の御三方は、惟光さんの口から手厳しい宣告を受けた。
「お役目様よりお言葉を預かりました。今回の件、全員失格でございます」
ハザマ様は、心外だとばかりに抗議する。
「家神が私に降りて、なんとかなったというのにか?」
「あれは、初音様が真摯に家神様にお願いしたからでございます。あなた方は初音様より能力がおありなのに、それに胡座をかいておられましたね。あの怪異の『帰りたい』という気持ちを汲み取ったのは彼女だけですよ。……これからは、掲示板で承認欲求を満たすのも程々になさってください」
ハザマ様と御影様はこってりと叱られた。 さらにまずいことに、ハザマ様は一時的に電子機器に一切触れられなくなってしまった。強力な家神様が身体に降りた余波で、触れるとショートしてしまうらしい。
後日。陸様は私に向かってポツリとこぼした。
「自分は何を学んできたんだろう。厳しい修行をしてきたのに、初音には及ばなかった……」 彼はすっかり肩を落としている。
「陸様。今回は大人しいイカさんだったから私にもできたことで、皆さんのようにハッキリと視えていたら、パニックになって何もできませんでしたよ。人の言う事を聞かない荒れ狂う霊だったら、それこそ陸様の出番ですね」
「いや、人よりも視える、祓えるという自信が慢心になっていたんだ。凄くいい勉強になったよ」
真摯に反省する陸様を見て、私は本音を伝えた。
「わたし、候補の中では陸様にお役目になってほしいです。掲示板でも、真面目にこの国を憂いていましたよね。ハザマ様なんて、スレッドの勢いのことしか頭に無かったですよ!」
「ははは。透青様は家から出ることが難しいし、この家の影の存在だから、せめて掲示板の中では光を浴びたいんだろうと思うよ」
「だとしても、ハザマ様がしばらく掲示板に出入りできないのはいい気味です!」
私たちは顔を見合わせて笑い合った。
*****
それから数日後。一時的に電子機器に触れられなくなったハザマ様が、コソコソと私に頼み事をしてきた。
「なぁ、初音〜。私のスレッドが975番までいったら、次スレ立ててくれないか?」
「カノジョである美麗さんに頼んでくださいよ」
「美麗にこんなことしていると知られるのは恥ずかしいし、何より彼女は育ちが良すぎて、匿名掲示板の使い方を知らないんだ」
「もう〜、しょうがないですね!」
渋々引き受けながらも、私にはある考えがあった。 御影様とハザマ様がオカルト板内で主導権争いをしないよう、次スレッドの題名をこのように設定して立てたのだ。
『霊能者と結界師だけど質問ある? 2霊視目』
ここに真面目な陸様が降臨してくるのを、私は今から密かに楽しみにしている。
余次元住まいのハザマ様! ― 陸 編― <完>




