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10 フェンの活躍

三階層へ到着した頃には、レインたちにも余裕があった。初めて来た時とはまるで違う。あの時は未知の階層というだけで緊張しっぱなしだった。どこから魔物が現れるか分からず、少し物音がするだけで武器へ手が伸びていた。だが今回は違う。地形もある程度覚えている。出現する魔物の傾向も分かっている。

何より戦力が増えていた。フェンが前方を警戒しながら進み、チビはレインの肩から周囲を観察している。索敵能力だけで言えば、以前よりかなり向上していた。三階層で遭遇した魔物も順調に討伐していく。

ゴブリン。ダンジョンラット。毒蜘蛛。どれも脅威ではなかった。もちろん油断すれば怪我をする。だが以前のように命の危険を感じる場面はない。フェンが前衛として敵を引き付ける。レインが側面から短剣で仕留める。リリアが後方から支援する。そしてチビが必要な時だけ糸を使って妨害する。

連携も少しずつ形になり始めていた。特にフェンの存在は大きい。これまではレインが前に出るしかなかった。だが今は違う。敵の注意を引いてくれる仲間がいる。そのおかげで戦いやすさが段違いだった。昼過ぎ。三階層の奥に近い場所まで到達する。そこには下へ続く階段があった。

石造りの階段。暗闇の中へ続いている。四階層。まだ誰も見たことのない場所ではない。だがレインたちにとっては未知の領域だった。レインは階段を見下ろした。冷たい空気が下から流れてくる。何となくだが分かる。三階層とは違う。雰囲気そのものが違った。


「行きますか?」


リリアが尋ねる。レインは少し考えた。そして首を横へ振る。


「やめましょう」


リリアも異論はなかった。


「私もその方がいいと思います」


今の戦力なら三階層は十分戦える。だが四階層は分からない。どんな魔物がいるのか。どれくらい強いのか。何も情報がない。フォレストディアとの戦いで学んだことがある。無理をすると死ぬ。それも簡単に。レインは階段から離れた。


「次の目標ですね」


「そうですね」


今すぐ行く必要はない。もっと強くなってからでいい。レベルを上げる。装備を整える。フェンとの連携を深める。チビの新しい力も把握する。やるべきことは山ほどあった。チビも階段を見下ろしていたが、レインが離れると素直についてくる。フェンも特に不満そうな様子はない。二匹とも主人の判断を信頼しているようだった。レインは少しだけ嬉しくなった。そして三人と二匹は来た道を戻り始める。四階層への挑戦はまだ先。だがその階段を見つめた時、レインは確かに感じていた。自分たちは少しずつ先へ進んでいる。ほんの少し前まで一階層で苦戦していた新人だった。それが今では三階層の奥まで安定して来られるようになっている。遠いと思っていた場所が、少しずつ近付いていた。


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